どうも、拓夏です。今回は、2020年の8月9日~16日に行った道北旅について書こうと思います。
【前日譚】憧れの地へ、いざ
北海道。旅人なら誰しもが憧れる場所。
北海道は、広大な土地と豊かな自然をもち、国土の狭い日本にしては珍しく「大陸旅」に似た本当の意味での「冒険」を体感できる場所だ。多くの旅人たちは、真の冒険を求め、夏になるとこの地を訪れる。そして、北海道は「試される大地」の二つ名の通り、訪れる旅人たちに多くの試練を与えてきた。
それを乗り越えられるかどうかが、旅人としてのランクを決めるのではないかと(私は勝手に)思っている。
毎年、夏になると北海道に赴く理由はそれだ。自分は「試される大地」の試練に打ち勝つことができるか。そういう、単純な「力比べ」をしに、自転車にテントを積んで冒険しに行く。(と、それっぽいことは言っているけれど、実際は「冒険楽しいいいいいいいい(アへ顔」って感じだったりする。あと、うまい飯目当て)
そんなこんなで、今年の夏も北海道に行くことにした。
今回は、奇跡的に9連休を獲得したので、結構大きな旅に出かけることが出来る。
9連休を取れた瞬間に思った。
あ、道北いこう。
道北とは、北海道北部の地域のこと。日本最北端の地である「宗谷岬」は有名だし、小樽から稚内までをつなぐ海沿いの道「オロロンライン」やそのルートの一部である「サロベツ原野」は、北海道の中でも指折りの絶景ロードとしてバイク乗りや自転車乗りに人気だ。
稚内から出ているフェリーに乗れば、日本最北端の島である礼文島や、日本最北の百名山(と同時に、登るのが一番困難な百名山)である「利尻山」が聳える利尻島などに行くこともできる。特に、利尻島は、自転車に乗り始めた頃からずっと行きたかった場所だ。
絶景や名所の多い道北。なぜ、今まで行っていなかったのかというと、アクセスが死ぬほど悪いから。
実際は、稚内空港があるからそこまで悪いともいえないのかもしれないけれど、稚内空港にはLCCが飛んでいないので、私のような貧乏人にはないのと同じだった。
なので、私のような貧乏人が道北に行くためには、新千歳空港まで飛行機で飛んで、その後、バスか電車を使うしかなかった。だけれど、バスは片道6000円、電車は考えたくもない値段がするし、そこまで行くのに6時間近くかかる。恐るべし北海道……
余談だけれど、北海道でも他の地域はAIR DOが飛んでいるので、そこまでアクセスが悪くなかったりする。AIR DOさん、稚内にも飛行機飛ばしてくだせえ……(白目
そんなこんなで、金額と時間のバランスがうまくとれず、いままで行きたくても行くことができなかったのが道北だった。
しかし、今は特別給付金でもらった10万とお盆休みの9連休がある。神が北海道の経済を回しに行けと告げているような気がする。もう、これはいくしかないのでは……
ということで、微塵も悩まずに道北に行くことを決意したのだった。
9連休もあるし、がっつり遊ぼうと考えてルートを組む。四国旅以降、頻繁に痛む膝を悪化させないためにも、一日の走行距離は100km未満にすることにした。
ルートはこちら。
(Google使用許諾(2020年12月20日 アクセス)
https://www.google.co.jp/maps/@44.7318337,140.9501358,9z/data=!3m1!4b1!4m2!6m1!1s17zcv9LqH-wswHFzK8JYYQ52ekLjq7A4N?hl=ja
新千歳空港から電車を使って留萌(図の本土側のA)まで行き、そこからオロロンラインとサロベツ原野を通って稚内に至り、日本最北端の地である宗谷岬(図の本土側のE)を目指す。その後、利尻島と礼文島を堪能するという日程にした。
最高の夏休みを確信する布陣。これは勝つる……
ワクワクした思いを胸に準備を進めながら、旅の日を待った。
今回は、どんな冒険が私を待っているんだろうか……
【一日目】黄金岬に魅せられて【留萌】
早朝の便で羽田から新千歳空港まで飛ぶ。
飛行機を降りて空港に降り立った時、心の中で叫ぶ。
帰ってきたぜ、北海道……!!
前回、突発で道央旅に行ったのが7月末だったので、ほぼ2週間ぶりの新千歳空港。2週間ぶりなので、久々というよりも帰ってきたという感覚の方が強かった。(というか、我ながら、北海道に行きすぎなのでは……?)
さて、前回は、新千歳空港から自走で目的地まで走ったけれど、今回は、まだまだ移動が続く。
預けていた自転車を回収し、JR新千歳空港駅へと急ぐ。
電車で、新千歳空港から留萌へ。札幌と深川で乗り換える。
深川駅についた時点で、留萌行きの電車の発車予定時刻が30分後のようだったので、朝飯を買いに売店へ向かう。
深川駅の売店は、ほとんど観光客向けのお土産が大半を占めていた。コンビニや購買的な機能を期待していた私としては、肩透かしを食らった感覚だった。待ち時間で食べられそうなものを探していると、レジ付近に手作りのクリームパンが売られていたので、それを買うことにした。
電車が来るまでにパンを食べることに。
袋を開けて、一口食べる。
な、なんだこれうめえ……!!
小麦の甘さと柔らかい弾力が口の中を占める。小麦の甘さと控えめなクリームが見事にマッチし、癖のない素朴な味わいを醸し出している……
まさか、売店のパンがここまでうまいと思わなかったので、衝撃を受けた。北海道は売店のパンすらもうまいのか……!!
そんなことを考えながら食べていたら、すぐに食べ終わってしまった。1個しか買ってなかったけど、こんなにうまいなら2個くらい買っておけばよかったと思った。
小腹を満たしていると、留萌行きの電車が来た。
深川・留萌間を繋ぐのは、2両程度のワンマン電車だった。
自転車を迷惑にならなさそうな場所に置き、座る。私が乗ったときには、2人くらいしか乗客がいなかったのだけれど、発車時刻に近づくにつれて人が増えていく。最終的には、結構な込み具合になっていた。
電車に揺られていると、ついに、今日の目的地である留萌に到着した。
時計を確認すると、時刻は12時頃だった。早朝の便に乗ってきたことを考えると、移動だけで午前中を丸々使っていることになる。
今から次のキャンプ場にいくのはきついので、今日は留萌で停滞することに決めていた。
自転車を組み立ててから、今日の拠点へと自転車を走らせる。
駅から海に向かって走ると、目的地が見えてきた。
黄金岬キャンプ場(写真は夕暮れ時に撮ったやつ)。
このキャンプ場は、黄金岬に隣接しており、広大な海を一望できる。キャンプ場と聞くと、広大なテントサイトを思い浮かべるが、ここはウナギの寝床のように横に細長い形状をしている。キャンプ場というよりも、民家の庭とか空き地っぽい雰囲気。テントも15~20張程度しか張れないため、キャンプ場にしてはあまりにも狭い。完全に、早いもの勝ちのキャンプ場だった。
ちなみに、この狭すぎるキャンプ場は、この近辺では結構人気の場所だったりする。その理由は、黄金岬を一望できる立地の良さ、トイレと食べ物屋が隣接しているという利便性と、なんといっても無料であるためだ。
北海道には無料ながらいいキャンプ場が多い。旅人の財布に優しい北海道。
なお、黄金岬キャンプ場の付近は、こんな感じ。
最近、新設されたトイレ。
トイレ以外にも、入り口に座るところがあったり授乳室があったりするからなかなか便利。雨の日はワンチャンここで眠れそう(
キャンプ場の隣にある食べ物屋さん。
どこまでも続く水平線
海を眺めながらゴロゴロ。
海の家って感じの食べ物屋さんが近くにあるので、昼間に飲食する分には困らない。
私がキャンプ場についた頃には、既に何組かがテントを設営していた。正直、もっと混雑しているような気がしていたので、思っていたよりも空いていて安心した。今日、このキャンプ場を逃すと他に泊まるところがなかったからね……
適当な場所にテントを設営してから、黄金岬へ向かう。向かう、といっても目と鼻の先にある場所だから30秒もかからずに着く。
黄金岬と愛車
今日は、晴れていたので海が綺麗だった。どこまでも続く水平線を眺めていると心が落ち着く。
そういえば、日本海を眺めるのはこれが初めてだった。今まで、太平洋やら瀬戸内海やら沖縄の海(これも太平洋だが……)を見てきたが、日本海はそこまで綺麗じゃないと思った(おい
もしかすると、前日に激しい雨が降ったのが原因かもしれない。
黄金岬を眺めたあとは、近くの売店で腹ごしらえをすることにした。
何軒かある食堂のうち、「岬食堂」という店がおいしそうだったので、そこに入ることにした。
メニューを眺めていると、「岬ラーメン」というのが一押しらしいので、それを頼むことにした。
ラーメンを注文すると、店のおじさんから話しかけられた。
おじさんとしばらくお話をする。話の途中で、こちらをうかがうように「どこからきたのか?」と聞かれた。
このご時世でその質問が何を意味しているのか、分からないほど私は馬鹿ではなかった。ただ、嘘をつくのもはばかられたので、正直に関東の方から来たことを言う。
すると、少しだけおじさんの顔がこわばったが、「田舎の方なんです」と付け足すと、少しだけ安心したような顔をした。
地方の人たちは、このご時世なのもあって都心近辺に住んでいる人たちに対して少しだけピリついた態度をとることがある。仕方のないことだけれど、少しだけ寂しさを感じてしまう。
ちなみに、いろいろと話していて知ったが、おじさんは関東在住らしい。毎年、この時期になると親御さんの経営しているこの店の手伝いをしに帰ってくるんだとか。身構える必要なかったわ。
そんなこんなで話し込んでいたら、ラーメンができて運ばれてきた。
店の出入り口付近のテーブルに座っていたのだけれど、ラーメンを運んできたおかみさんに展望のいい窓際の座敷を進められたのでそちらに移動する。
岬ラーメン
うおお……!なんかすげえ……!!
エビを始めとした豪勢な海鮮の盛り付けに思わず驚く。
まずは、スープをいただく。海鮮の旨味が凝縮されていて、とてもおいしい。見た目も素晴らしいし、味も素晴らしいしで最高。
おいしすぎて、気づいたらラーメンがなくなっていた。ごちそうさまでした。
岬食堂を出た後は、黄金岬から海を眺めながらゴロゴロする。
ベンチで寝転がっていると、幾たびか海風が吹き抜けていく。その風は、真夏だと思えないくらい冷たかった。
関東では30度を超える気温が続いているのに、こちら側はそんなことなんて知らないと言わんばかりの涼しさだ。涼しいを通り越して少し寒いくらい。
この時期の北海道の気温は関東よりはるかに低いけれど、特に、この付近は二週間前に行った道央エリアよりもさらに涼しいような気がする。同じ北海道の中でも、道央と道北でこれだけ違いがあるのだから面白い。
空を見上げると、ごきげんな青空が見えた。走らない日に限ってよく晴れるのはなんでなんだろう……
そんなこんなで、ゴロゴロしたり写真撮ったりしながら過ごす。
海辺のカモメと遊んだり。
天翔ける龍
シーキッチンの生姜焼き定食。
これはこれでいいな……!!(単純
雲が出てきたときは少し落ち込んでいたのだけれど、これはこれで芸術点が高くて良い。
それにしても、夏なのに秋のような空模様だ。まさか、夏に鰯雲を見ることになるとは……
季節外れの鰯雲は、風に流されて少しずつ拡散していった。その様子をなんとなく眺めながら、他に面白い雲はないかと目を凝らした。
ドラゴンっぽい雲を見つけたのでパシャリ。
面白い雲を見つめたりしていたら、いつのまにか、太陽は水平線の下に潜り込んでしまったみたいだ。
夕焼けを見送った後、留萌市街地までご飯を食べにいくことにした。
味噌汁が海風を受け続けて冷えた身体に染みた。うまい。
店を出ると、すっかり辺りが暗くなっていた。ライトをつけて、街灯の少ない夜の留萌を駆ける。
少しだけ道を間違えたりしながら、なんとかテントに戻った。
テントに潜って空を見上げたら、頭上には満点の星空が広がっていて、思わずテンションが上がる。道路沿いにあるキャンプ場なのもあって、外灯のせいで少し見にくかったが、それを気にしなくさせるほど多くの星が輝いていた。
ラジオを聞きながら星を眺める。満点の星空は、いつまでも眺めていられるくらい美しかった。
やがて、就寝時間になったので寝袋に潜り込む。
いつもだったらすぐに就寝できるのだけれど、この日は隣のパリピが騒がしくて、うまく入眠できなかった。こういうときに限って耳栓を持っておらず、もどかしい。
パリピの騒音と格闘していたが、いつの間にか、意識は夜闇に落ちていった。
スヤァ……
2日目へ続く。
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