道央旅の最終日です。
前回のは、こちらからどうぞ。
写真は、札幌市時計塔と愛車
4日目(7/27):小樽~札幌
眩しさで目が覚めた。時刻は午前6時。
カーテンから漏れている光が顔をくすぐった。どうやら、この光で目覚めたらしい。
今日は、札幌で食道楽をして帰るだけなので、早めに起きる必要はない。だから、二度寝をするために布団に潜り込むのだけれど、身体がすっかり朝型になってしまっていて眠れなかった。仕方なく、起きることにする。
起きたからといって何をするわけでもなく、だらだらと出発準備をしたり、ツイッターを眺めたりした。
朝の清涼な光を浴びながら、畳の上でゴロゴロするのは最高で、時間を忘れてゴロゴロした。
気づいたら、時刻は8時になっていた。そろそろ出かけようと思い、荷物をもって一階に降りる。
1階にいくと、出かける準備をしているおかみさんと出会った。昨日、9時くらいに病院に行くと言っていたので、それの準備だろう。
おかみさんに、「もう出発します。」と告げると、玄関前まで出て見送ってくれた。
「じゃあ、また来ますね。」とおかみさんに言って、民宿を後にした。おかみさんは、路地を曲がるまで見送ってくれていた。
小樽駅の近くの民宿だったのもあって、小樽駅にはすぐについた。
自転車を分解して輪行袋に詰めてホームへ向かう。ほどなくして、札幌行きの電車が来た。
電車に乗り込み、車窓に映る景色を眺める。
小樽、また来るぜ。
徐々に移り変わっていく景色を眺めながら、そんな風に心のなかで呟いた。
座席に座って、ふとポケットの中に手を入れると、もふもふした感触がしたので、そのまま取り出す。
もふもふの正体は、キャンプ場のおっちゃんからもらったメロン熊だった。
キャンプ場のおっちゃんからもらったメロン熊。
それにしても、このメロン熊……
本当に要らない(白目
いや、マジで……
自転車に乗っているときは、ハンドルとかに適当に括り付ければいいけれど、輪行とかするときに入れる場所がマジでないから困る。
今回も、入れる場所がないからポケットに突っ込んでいた。
メロン熊で遊びながら窓を眺めていると、こんな景色が目の前に飛び込んできた。
海だ!!
北海道スケールのでっかい海とどこまでも続く水平線を見て、思わずテンションが上がる!
電車の中から水平線を拝めるシチュエーションってあんまりないから、個人的に結構貴重だった(余談だけれど、電車×海のシチュエーションだと、東海道線の早川~根府川駅間の景色が個人的に好きだったりする)。
小樽から大体一時間くらいで札幌に到着。
札幌駅に着くと、目の前にはでかでかとしたビルが立ち並んでいた。小樽も大分都会だったけれど、札幌は東京に匹敵するくらいの大都会だ。思わず、ここが北海道であることを忘れそうになる。
変わらない街並みを眺めながら、なんとなく、初めて札幌に来た時のことを思い出す。
札幌に初めて来たのは、二年前の夏に初めて北海道旅をした時だった。大学時代に同じサークルだった友人が、北大の大学院に進学してこちらに住んでいたので、せっかくだから旅の最終日に会って飯を食う約束をしていたのだ。
私は初めての北海道旅で、北海道のでかさと自然の豊かさに感動する一方で、その広大な地に一人だけでいることに、なんとなく寂しさを感じていた。最終日は、疲労していたのと雨が降っていたのもあって、いつも以上に心が沈んでいた。それもあって、北大前で待ち合わせていた友人を見たとき、とても心が温かくなったことを覚えている。
ずぶ濡れになっている私を引きずって、友人はいろいろなお店を案内してくれた。その時に食べたジンギスカンやスープカレー、パフェは、どれも筆舌に尽くしがたいおいしさで、札幌の飯のポテンシャルの高さに驚いた。そして、また食べたいと思っていた。
札幌の飯を食いたいと思いながらも、道内のまだいったことのない場所に寄るのが手いっぱいで、なかなか立ち寄れないでいた。そうでなくても、グルメめぐりをメインとした旅は、あまりしない傾向にある。札幌によるとしても、機会があまりなかった。
だから、膝の不調という不幸な事態ではあるけれど、札幌に来る機会が出来て良かったと思っている。膝が悪いと走ることもできないし、食道楽をするにはいい機会だった。
2年ぶりの札幌を眺めながら、目当ての場所に向かってゆったりと自転車を走らせる。一件目決まっていた。
タイガーカレー!
北24条に位置するスープカレーのお店、タイガーカレー。
友人に初めて連れて来られた北海道の店がここだった。私は、ここで初めてスープカレーを食べ、そのおいしさに感動したものだ。
(ちなみに、かなりの人気店であり、昼になるとめちゃくちゃ混む。)
時計を見ると、開店の10分前だった。自転車を停めてしばらく待っていると、私の後にも何人か人が来た。
ぼーっとしながら待っていたら、店の扉が開いた。どうやら、開店したようだ。
中に入って、メニューを吟味する。
この店は、いくつかのラインナップの中からスープカレーの具とスープ(と辛さ)を選ぶことができる。詳しくは、公式ページを参照されたし。
私は、牛筋カレーと龍のスープの組み合わせで注文した。
注文してしばらく待つと、頼んでいたものがやってきた。
牛筋カレーと龍のスープのスープカレー!
土鍋の中で煮えたぎるスープカレーから、スープカレー特有のスパイシーな香りが立ち上る。
その匂いにつられて、さらさらとしたスープを口に運ぶ。ガツンとくるスパイシーな香りと共に、スープに溶け込んだ素材の濃厚なうまみが口の中いっぱいに広がる。
うまい!!
思わず、そう吠えたくなるようなうまさ。
2年前に初めて来たときから、ずっと食べたかった味をようやく食べられて、心が感動に震えた。
夢中で食べていたら、気づかないうちに皿が空になってしまっていた。ごちそうさまでした。
思い出の味を堪能した後は、札幌の観光地を巡ることにした。流石に、二軒連続で行くのは辛い。
前回、札幌に来たときは、北大と円山動物園くらいしか観光をしていなかったから、寄りたい場所が沢山あった。札幌の冷たい風を受けながら、自転車を走らせる。
赤レンガ庁舎(北海道庁旧本庁舎)
赤レンガ庁舎の愛称で親しまれる、北海道庁旧本庁舎。
赤いレンガ造りの建物は思っていたよりも大きくて、西洋の城みたいだった。
ちなみに、現在は北海道の歴史についての資料が展示されているのだそうだ。
ちなみに、赤レンガ庁舎まで続いている道のレンガがちょっとかわいかった。こういう遊び心があるの楽しい……!
大通公園。
噴水とさっぽろテレビ塔が印象的な、札幌市民に愛される公園。大通西1丁目から大通西12丁目におよぶ東西に細長い独特な構造をしており、その長さは約1.5kmにもおよぶのだとか。
かなり歴史の古い公園で、北海道開拓使が置かれた1869年に設立された。その後、様々な経緯を経て、現在のような近代的な設計の公園になったのだという。
大通公園は、散歩に来たおばあちゃん達や地元の方々で賑わっていた。花壇に植わっている花も綺麗で、ちょっとした休憩をするのによさそうだった。
さっぽろテレビ塔と愛車。
大通公園のほど近くにある、東京タワーじみた鉄塔はさっぽろテレビ塔だ。
2017年で60周年を迎えているらしく、こちらもなかなかな歴史を持つ。
札幌市時計台。
大通公園・さっぽろテレビ塔のほど近くにあって、札幌観光をする上で外せないのが、札幌市時計台だ。
正式名称は、旧札幌農学校演武場。元々は、北海道大学の前身である札幌農学校の演武場として建設され、教育団体の事務所や軍用施設などとして利用されていた。
現在では、鐘の音で札幌市内に時を告げる時計塔として札幌市民に愛されているほか、時計塔の歴史を紹介する展示室として利用されている。
昭和45年には国の重要文化財として指定されており、赤レンガ庁舎と並んで、札幌の観光名所となっている。
愛車と共に。
それにしても、札幌の街はいつ来ても綺麗だなと思う。東京のような都会でありながら、都会にありがちな雑然さはなく、むしろ、洗練された美しさを感じる。
そういえば、札幌の街は、建設当初からかなり緻密に設計されたということをどこかで聞いたことがある。東京のように元の形を保ちながら発展してきた都市とは違い、構想がしっかりしていたからこそ、このような形になっているのかもしれない。(単純に、除雪のしやすさとかで道を整備しやすいようにしているだけかもしれないけど)
一通り、札幌市内の観光を終えたところでおなかが空いてきたので、飯を食いに自転車を走らせる。
ジンギスカン羊飼いの店「いただきます。」
独特なネーミングのこのお店は、サフォークという肉専用種を扱っている数少ないお店なのだとか。
席につくと、お店のお兄さんがいろいろと説明してくれる。とりあえず、一皿目としてジンギスカンを注文する。
ジンギスカン。すでにうまそう。
ジンギスカンを頼むと、モモ・ウデ・バラ・スネなどが盛られた皿が来た。
お兄さんは、それぞれの部位や食べ方などを説明してくれた。
自社牧場で生産されたラム肉は新鮮で癖がないので、塩で食べるのが一番うまいのだとか。なるほど、やってみよう。
肉を焼いて、お兄さんに教えてもらった通りに塩を付けて食べてみる。
すると、柔らかな食感と癖のない味が口いっぱいに広がる。なるほど、確かにおいしい。
ラム肉は、癖がある印象にあるけれど、ここの肉は牛や豚よりも臭みがなくておいしいと感じた。
あっという間に食べ終わり、次を注文するためにメニューを吟味する。
ふと、赤字でおすすめと書かれたところにレバーがあるのが見えた。ラムのレバーってなんだか珍しいので、頼んでみることに。
レバーを運んできたおにいさんが、先ほどのように肉の特徴や食べ方を解説してくれる。
こちらも塩で食べることを勧められたので、塩を少しつけていただくことにした。
まろやかな食感とほのかな甘みが口の中に広がっていく。レバー特有の引っかかるような食感や独特の臭みなどはなく、ただただ口の中で肉が蕩けていく。例えるなら、焼きたらこをめちゃくちゃ滑らかにしたみたいな食感だった。なるほど、確かにこれはうまい。
夢中で食べていたら、すぐになくなってしまった。
もう少し食べたかったけれど、財布がピンチだったので切り上げることにした。美味であった。
時刻を見ると、丁度いい時間だったので札幌駅に向かう。
札幌駅付近は、まだ昼間なのもあって活気にあふれている様子だった。そんな光景を横目に、帰り支度を進める。
札幌駅で自転車を輪行状態にして、駅のホームへ向かう。電車はすぐに来た。
新千歳空港行きの電車に乗り込んで、窓の外に映る景色を眺める。電車は少しずつ動き出して、窓の外の世界が移り変わっていく。
ああ、また旅が終わるんだなあ。
そんなことをふと思う。
今回の旅は、膝の不調もあって予定していたルートの半分しか走破できなかった。しかし、そのおかげで本来は見ることができなかった夜の小樽運河をみることが出来たし、札幌で食道楽をすることもできたので、これはこれでよかったような気がする。
だけど、なんとなく北海道に負けたような悔しさはあるので、今回の旅で走ることが出来なかったニセコと積丹は、またいつかの機会に絶対に走破する。そんな再チャレンジに心が燃えた。
だけれど、その再チャレンジの前に、もっと大きな旅が目前に控えていた。
2週間後、また北海道に来る。
次に目指す場所は決まっていた。日本最北の地「道北」だ。
道北は、ずっと行ってみたかった場所の一つだった。オロロンラインやその道中にあるサロベツ原野、本土最北端の宗谷岬、利尻島と日本最北端の島である礼文島……
走りたい道や行きたい場所が盛り沢山で、今からワクワクが止まらない。
旅の終わりはいつも寂しいはずなのに、今回は無性にワクワクしていた。
今回の旅は、いわば前座。本番は2週間後に控えている道北旅だ。
また来るぜ、北海道。
新たな旅に思いを馳せながら、再び訪れるこの地に短い別れを告げた。
終わり(道北旅へと続く)
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