トラブル続きの久米島旅行記(前半)

2018年6月24日

どうも、拓夏です。
今回は、2/27~3/2に行ってきた久米島旅行についてのあれやこれやを書こうと思います!
投稿するまでに3ヵ月かかってるのは目をつぶってください。



写真は、奥武島あたりでパシャったシーサーさん

久米島を選んだ理由

 夏に伊豆大島に行って以来、ずっと夢見ていた自転車旅行。
その初陣として、沖縄県の久米島を選びました。
 
 理由としては、
  1. 島だから
  2. 一周するまでに時間がかからない
  3. 某自転車雑誌で紹介されてたから
などがあります。特に3の理由が強い。
 できるだけ島旅をしたい。だけれども、地形的に勾配が激しい島(すべてがそうではないかもしれないが)では、一周するまでの距離が長いとばててしまう可能性がある……
 そのため、一周するまでの距離が短い島がいいなあ、と思いながら探していました。
 丁度その頃、某自転車雑誌では5万円自転車旅の特集がやっており、そこで紹介されていたものの一つが久米島でした。
 1周25kmという手軽さ、勾配に関しても一周する分には問題なさそう、そしてなによりも海が綺麗、というところに惹かれ、久米島に行くことを決意しました。

 どうせなら2泊3日がいいなあと思いながら丁度いい飛行機を調べていたのだけれど、安い飛行機は軒並み16時発19時着のものばかり。
 久米島までのフェリーの事を考えると、那覇に一泊したほうがよさそう。ということで3泊4日の旅になりました。

3泊4日の旅をするにあたり、選んだ装備はこちら。


  • フロントバッグ(モンベル フロントバッグ)
  • フレームバッグ(トピーク ミッドローダー 3L フレームバッグ)
  • サドルバッグ(OSTRICH シートバック [スマートイージーパック] )
サドルバッグはシートポストが低くても装着できるタイプのものを選びました。容量は7ℓと少し物足りないけれど、それ以外につけられそうなものがみあたらなかったのでこれに。
ちなみにこのバッグは、輪行袋のL-100を外付けすることができるので結構便利です。(写真でいう青い袋)
 
 なお、今回は飛行機で輪行なので、輪行袋はOS-500を使いました。
 飛行機輪行に関しては、「薄型でも大丈夫!」や「いや!絶対にハードケースかソフトケースに入れるべきだ!」などのいろいろな意見があるようですが、私は荷物になることを承知でソフトケースを使いました。
 最初の旅で愛車が破損したら立ち直れなさそうなので(白目

 ちなみに、バッグや輪行袋を買ったらウェアやペダル・シューズを買う金がなくなったので、服装は適当な私服、ペダルはフラットペダルで今回は旅に出ました(白目

一日目:羽田~那覇

 初のソロでの自転車旅、そして初の輪行にして飛行機を使うという暴挙。
 普通は電車での輪行で何度か慣れてから行くもの何だろうけど……

 でもそんなの関係ねえ!俺は行くぜ!!

 ということで、OS-500に相棒を詰め込み、フロントバッグ・フレームバッグ・サドルバッグに最低限の荷物だけを詰め、さらにヘルメットについてきたちゃちいバッグにぎゅうぎゅうに詰めたものを背負い、羽田空港へ出発。
 
 ちなみに、飛行機輪行だけでなく、一人で飛行機に乗るのも初めての経験の私。
 最後に飛行機に乗ったのは、高校の修学旅行以来だなあなどと思いながら、空港についた後、第一ターミナルに向かいます。
 今回利用するのは、安心安全のJALさんです。初めての飛行機輪行、飛行機一人旅なので、下手にLCCに手を出すことはしません。
 一通りの手続きを済ませ、自転車を預けてから、搭乗口付近で適当に時間をつぶします。(ちなみに自転車は、案外すんなりと受け取ってもらえました)


 搭乗口付近でぶらぶらしている時に、目の前にでっかい飛行機が見えたのでぱしゃり。
 こうして近くで見ると飛行機ってかなりでかいんだなあ……

 飛行機を撮影したり飯を食ったりしていると時間になったので搭乗口から飛行機に乗り込みます。
 乗り込んだ後はスヤァしていたので、気付いたら那覇に到着してました(白目

 那覇到着後は、OS-500を適当なコインランドリーにぶちこみ、愛車を薄型のL-100の袋にささっと詰め込んで那覇空港を出ます。
 そして、人の邪魔にならないところで自転車を組み立てます。
 自転車をひっくり返して、ペダルを装着した後、前輪と後輪をはめ込み……
 
 と、ここでトラブルが発生
 なぜか後輪がはまらない

 試行錯誤しながらどうにかこうにか後輪をはめようとすると……
 今度はスプロケットがリアエンドに変に咬んでとれなくなった

 なんでだ!!?Why!!?
 輪行動画やサイトを見ながら直そうとするも、リアエンドに咬んだスプロケットはうんともすんとも言わない。
 困惑しつつもいろいろと弄っていたら、チェーンをガチャガチャしてるときになぜか取れました(白目
 結局今もあれの原因が何かは分からないです……
 外れた後にもう一度後輪をはめようとしたら、すんなりはまりました。本当になんだったんだ……(白目

 予想外のトラブルに目を回しながらも、自転車に荷物を搭載し、今日の宿に向かいます。
 チェックイン後、休む間もなく風呂や飯を済ませます。
 また、今回の旅は、積載量の問題から着替えを一つしか持ってきていないので、宿の洗濯機を借りて洗濯します。洗濯しないと明日着る服がないからね!
 一通り明日の準備などを済ませた後、気付いたら寝ていました(白目

二日目:いざ久米島へ!

 携帯のアラームで朝7時に目をさます。
 久米島行きのフェリーは8:30発だけれども、慣れない沖縄で迷子になる可能性も充分にあるので早めに起床します。
 荷物を各バッグに詰め込み、自転車を担いで宿屋の外に出ます。
 
 外に出て思った。
 明るい、そして暖かい。
 
 思わず季節を飛び越えてきてしまったんじゃないかという錯覚に陥ります。
 同時に、ここが沖縄であることを思い出し、沖縄に来たという実感を今更になって得ます。
 昨日の時点で沖縄にはついていたけれども、到着が夜だったのと、メカトラブル(?)でバタバタしているのもあってそんなこと思う余裕もなかった。

 いやあ、それにしても、それにしても……
 ついに来たんだなあ……沖縄……
 
 夏の伊豆大島から随分長くかかってしまったけど、ようやく夢をかなえられたと思うととても感慨深い気分になります。
 しばらく何もない道で立ち尽くしていたのだけれども、ずっとそうしてるわけにもいかないので、宿屋に入る時に分解していた自転車を組み立てます。今度はすんなりと組みあがる自転車。本当に昨日のはなんだったんだ……(白目
 
 携帯でちょくちょく地図を確認しながら、自転車で停泊所まで移動します。
 特に道に迷うこともなく停泊所まで到着。到着後は、停泊所の直ぐ近くにある事務所で乗船手続を済ませます。
 今回は自転車を乗せるので、事務所の近くにある貨物事務所で手続きをします。手荷物手数料を支払った後、事務員の方が自転車を船の中に運んで行ってくださいました。
 それにしても、フェリーの場合は自転車を分解せずにそのまま乗せられるから手間がかからなくて良い……

 事務所付近で探索したり飯を済ませたりしながらしばらくまっていると、出航30分前に乗船開始のアナウンスが流れ始めたので移動。
 席は自由席のようなので、海が見える窓際の席を陣取りながら出航を待ちます。
 ちなみに、後で気付いたことなのですが、この船はごろ寝スペースがあり、そこで仮眠をとることができるみたいです。(実際に何人も寝てる人がいた)
 しばらくすると出航の汽笛が鳴り、船が徐々に港から離れていきます。
 港から離れていくにしたがって綺麗になっていく海を見てテンションが上がったので思わずデッキへ。


 一面が海に囲まれている光景は、なんというか非日常感がして非常にわくわくします。
 
 しばらくデッキで海を見ていたのですが、途中で潮風がつらくなってきたので座席に戻ります。
 座席に戻って一息つき、なんとなくポケットを漁ると……

 チャリンッ
 
 ん?と思い、音の中身を取り出してみると、手の中には宿屋の鍵。
 宿屋の鍵……

 まずい、鍵返し忘れた……
 
 最高潮だったテンションが氷水でもかけられたかのように一気に冷却され、顔面蒼白になります。
 やばい、どうしよう、と思うものの、今はもう船の上です。
 どうしよう、電話した方がいいかな……でもそもそもの時点で船の上って電話つながるのか……?
 などとこんがらがった頭でなんとか考えようとしているときに、タイミングが良いのか悪いのかわかりませんが電話が来ます。
 電話番号を確認すると宿屋の電話番号。迷わずに出ます。
 電話口で謝罪とこちらの事情を伝えると、とりあえず宅急便で送れと言われたのでその通りにします。
 最後に謝罪をして電話を切ったあと、一気に脱力。
 同時に、とても情けない気分になります。

 いや、本当にこんなところまで来て何やってるんだ……

 しばらく、宿屋さんへの申し訳なさと自己嫌悪から死にそうな気分になっていると、丁度フェリーが経由地である渡名喜島に着いたというアナウンスが流れます。
 
 死にそうな気分のままで顔を上げると……



 おおおおおおおおおおおおお……ッ!!!!!!!!

 目の前に、みたこともない綺麗なエメラルドブルーの海が広がっているではありませんか!
 落ち込んでいた気分が霧散し、目の前の美しい海にくぎ付けになります。
 すげえ、こんな海本当にあったんだ……!
 正直、那覇付近の海や今まで船の上で見てきた海も関東圏の海に比べれば綺麗というくらいで、そこまで大きな感動はありませんでした。
 しかし、今目の前に見えている海は、私が思い描いていた沖縄の海そのものであり、島にきたんだという実感が湧きます。
 こういうところでダイビングとかするとすごい楽しいんだろうなあ……
 今回は自転車旅をしていくつもりですが、今後は旅の合間にダイビングとかしてみるのもよさそうだなあとなんとなく思いました。
 
 しばらくするとまた汽笛が鳴り、渡名喜島から徐々に離れていきます。
 渡名喜島で降りた人が多かったようで、船の中は気づいたらガラガラになっていました。
 最初混んでいたごろ寝スペースが空いたので、そちらに移動して仮眠をとります。スヤァ……

 
 しばらくして、久米島についた旨の船内放送と共に目を覚まします。
 船を降りてから、辺りを見渡すと……

 うん、すごい曇天(白目

 今にも雨が降りそうな天気となっています。
 それもそのはず、本日2/28は雨の予報ですから(白目


 今にも雨が降りそうな天気に、せっかくの海も霞んで見えます。
 絶対これ晴れてたらめちゃくちゃきれいなんだろうなあ……これでも綺麗だしなあ……
 (※あまりに残念な天気すぎて港に着いたときの写真を撮ってなかったので、同時間に港から少し出た所にある砂浜で撮った写真を載せてます)
 渡名喜あたりにいたときは天気が良かったから、天気予報が外れることを期待していたのですが、そうはいかないみたいです。

 念願の島に来た感動よりも少しの残念さを胸に抱きながら、貨物事務所で自転車を受け取ります。
 自転車荷物を付けた後、まずは宅急便を送る為にヤマトへ急ぎます。
 幸い、今日の宿屋に行く道すがらにヤマトがあったので、そこで手続きをして宿屋の鍵を送ります。
 送った後は再度宿屋さんに電話をかけて謝罪しました。本当に申し訳ないです……

 ミッションコンプリートした後は、宿屋へ行く道すがら写真を撮りながらのんびり進みます。
 それにしても久米島、のどかで良い……


 こんな感じのサトウキビ畑がずっと続いています。
 道路も車があまり走ってないので走りやすいですし、ホント島最高(語彙力
 

 こんな感じのコスモス畑があったので思わずぱしゃり。
 
 そんな感じで道草をしながら走っていると、チェックイン時間が近づいてきたので宿屋に向かいます。
 宿屋は、久米島南東にあるイーフビーチ付近にあります。ちなみにこのイーフビーチ、日本の渚百選とかいうのに選ばれているとかなんとか。実際めちゃくちゃ綺麗でした。

 14:00くらいに宿屋に着き、チェックインをするために宿屋に入りますが……

 あれ、誰もいない……?

 しばらく待っていると、奥の方から宿のオーナーさんがやってきました。
 話を聞くと、どうやらチェックインの時間よりも一時間早くきてしまっていた模様。
 とりあえず荷物だけ預かっていただけることになったので、必要最低限の荷物以外をオーナーさんに渡します。
 オーナーさんに自転車で久米島を一周するということを伝えると、観光客向けに配布されている久米島の地図を持ってきてくださいました。
 オーナーさん曰く、自転車で回るなら時計回りがおすすめだとのこと。時計回りだと勾配が比較的緩やかなので、自転車でも走りやすいらしいです。逆に、反時計回りに回ると激坂が続くのでしんどいらしいです。
 その他にも久米島の観光地を一通り教えてもらいます。一通りの説明をしていただいた後、今日は雨が降るから一周はやめて、近場の観光地を巡った方がいいだろうと言われました。一周してるうちに雨に降られたら大変だろう、と。
 実際、外を見ると今にも雨が降りそうな曇天。それに、オーナーさん曰く、島の天気は移ろいやすいらしいので、下手なことはしないほうがよさそうです。
 なので、今日は近場の観光地を巡ることにしました。幸いにも、イーフビーチ付近には久米島の観光地が沢山あるので、先にそっちを回ることにします。

 ということで宿屋を出発。
 イーフビーチに近く、観光名所が固まっている奥武島のほうへと向かいます。


 
 奥武島!!



 どこまでも続く海最高。
 
 そんなこんなしながら、まずは久米島の名所の一つ、畳石の方へ。
 
 

 

 おおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!!!
 
 規則的に敷き詰められている六角形の岩とエメラルドブルーの海のコラボレーションが何とも言えない絶景を作り出してます。素晴らしい。
 ちなみにこの畳石、柱状節理と呼ばれるものだとか。溶岩が冷却する過程で、体積が減少する際にひび割れが起きた結果このようになるらしいです。この六角柱が地面のずっとしたまで伸びていると思うとなんともいえないロマンを感じます。

 しばらく眺めた後、せっかくだから畳石と自転車を一緒に写真に収めようと頑張るのですが……

 めっちゃ風強くてとれない

 いや、めちゃくちゃ風強い。
 自転車を近くに立てかけようとしても風に押されてすぐ倒れそうになります。
 どうしようか、風がやむまで待とうか……などと考えていると、後ろから声をかけられます。
 なんだろう、と振り向いてみると、そこには日焼けしたナイスガイのお兄さん。
 こんにちは、と言われたので微笑みと共に言葉を返します。
 すると、「旅してるんですか?」と聞かれました。確かにフル装備でバイクパッキングしてるから、そう見えるのかな、と思いつつ、「旅というか、旅行ですねー」と答えると、ちょっと残念そうな顔をされます。
 話を聞いてみると、このお兄さん、どうやら日本中を自転車で旅してまわっているガチガチの旅人らしいです。ここに来る前は北海道にいたのだけれど、冬の寒さを凌ぐために沖縄にやってきたのだとか。
 ガチの旅人を前に、いろんな話を聞きまくります。すると、北海道旅や久米島に来る前にいた渡嘉敷島のこととかを教えてもらえました。今後、島めぐりをしようと思っているので、参考に沖縄でおすすめの島を聞いてみると、渡嘉敷島とケラマ諸島の海が綺麗でいいとのこと。特に、ケラマの海は沖縄の人でもワンランク上の海というほどなのだとか。
 しばらくそのお兄さんと話していたのですが、ふと気になって「旅するきっかけはなんだったんですか?」と聞いてみました。お兄さんは何ともいえない難しい顔をした後「なんでですかねー」と困ったような顔をしながら言っていました。
 それを聞いて、旅ってそういうものなのかもしれないな、と思いました。そもそもの時点で人間って根源的に旅を求めるものなのかもしれません。

 しばらくしてお兄さんと別れ、畳石の近くにあるウミガメ館に行きます。


 館内に入ると、ウミガメを種類分けして紹介している水槽と、写真のような中に沢山ウミガメが泳いでいる大水槽の二種類がありました。


 二階への階段を登って大水槽を上から見るとこんな感じです。


 水槽の奥にはどうやらウミガメが休む砂場があるみたいです。


 おしり。

 しばらくウミガメを堪能してからウミガメ館を出ます。
 さて、これからどうしようか……
 天気を見るとあまり遠くには行かない方がいいし、かといって近くの観光場所は見尽くしてしまった……
 うーん……
 いろいろと考えを巡らせていると、ふと、帰りのフェリーの予約券をチケットに変えていなかったことに気づきます。
 明日久米島一周することを考えると、手続きは先に済ませていた方が無難な気がします。
 空を見ると、まだ雨は降りそうにない様子。ということで港へ向かいます。
 難なく港に辿りつき、予約券をチケットに交換してもらい、のんびりと港を出ると……

 大粒の雨が降り始めてる……(白目

 まじか、さっきまでこんなんじゃなかったぞ。
 などと考えながら、フロントバッグに忍ばせておいた40Lごみ袋をフロントバッグとサドルバッグに被せてから、急ぎ気味に宿に戻ります。
 いつもよりもハイペースで走りますが、それに増してひどくなる雨。
 来た道の半分くらい走ったあたりで本格的な土砂降りになりはじめます。
 全身ずぶ濡れになりながらなんとか宿にたどり着くと、宿のオーナーさんと奥様が玄関で出迎えてくれました。
 「全然帰ってこなかったから心配したよ!風邪ひいたら大変だから早くお風呂入りなさい!」と言われ、手続きよりも先に部屋を案内されます。
 部屋の最低限の設備の説明が済むと「とりあえず今はお風呂で身体を温めて、終わったらフロントにいらっしゃい」と言われ、ドアを閉じられました。
 とりあえず、オーナーさんの言うとおりに風呂に入って体を温めます。
 雨に降られても寒いという感覚がなかったのだけれども、お湯を浴びて芯から体が冷え切っていることに気づきます。
 いくら沖縄が暖かいといっても、今は2月末。当然、雨でずぶ濡れになれば冷えるに決まってます。そんなことにも気づいてなかった。
 お湯を浴びながら、自分一人じゃ何もできないんだなあ……ということに改めて気づかされました。同時に、宿の人の温かさに思わず涙が出ました。
 
 風呂を出た後は、言われた通りフロントへ向かいます。
 オーナーさんが「さっぱりしたみたいだね、よかった」と笑顔で言うのを見て、この人は根っからのいい人なんだと思いました。
 手続きを終えた後は、濡れた洗濯物をお借りした洗濯機にぶち込んでから部屋に戻ります。
 
 さて、これからどうするか。
 今日は飯食って寝るとして、明日の予定を決めなければ。
 部屋にあるテレビで天気予報を確認すると、明日は晴れの予報のよう。明日は14:00のフェリーで那覇に帰るけれども、1周25kmのこの島なら朝から走れば余裕で一周できそうです。とりあえず、島に来た第一目標は果たせそうな模様。
 そんなことを考えながらだらだら考えながらぼーっとしていると、だんだん腹が減ってきます。外を見ると雨も少し収まってきたようなので、飯を食いに行くことにします。
 
 鍵を預けにフロントに行くと、奥様がいたので近場の飯屋について聞くと、3つくらいおすすめを教えてくれました。とりあえずそちらへ向かうことにします。
 結論として、おすすめされた店が全部しまっていたので、全然違うところに入ることになりました(オイ
 というか、そもそも明らかに店開いてるのに入ろうとしたら「あ、今日はもうやってないんで......」っていって入店拒否してくる店とかもあったし……悲しい……(ちなみにこの時店が閉まる程の遅い時間ではなかったと思う)
 外は明かりもなく真っ暗で、かつ雨が降ったあとだったのでめちゃくちゃ寒い。あまりぶらぶらしてると遭難して帰れなくなりそうだったので、歩いている時にたまたま見つけた赤ちょうちんに導かれて一軒の店に入ります。
 店の人の言うままにカウンター席に座り、メニューから適当なお刺身と酒を選んで注文します。


 ちなみに、この時注文したのは「美ら蛍」という泡盛です。
 なんとこの「美ら蛍」、島以外でほとんど流通していない珍しいお酒なんだとか。生産したものが殆ど島内で消費されるため、外にあまり出回らないのだそうな。
 久米島にきたら必ずこれを呑んでおけとのことだったので、今回はこれを注文しました。久米仙とかは本州帰ってからでも飲めますからね……
 
 刺身盛りを肴にもりもり飲んでいると、席一つ空けて隣に座っていたおじいさんから話しかけられます。
 
 ただ、このおじいさん、
 めちゃくちゃ方言強くてなにいってるかわからねえ(焦

 なんとか聞き取ろうと全神経を耳に集中させて聞き取ると、なんとか「お前どこの人だよ」的なニュアンスのことを言ってることがわかったので「関東から来ました」と答えました。ちなみにおじいさんは久米島生まれ久米島育ちの生粋の久米島っ子の模様。どうやら船が苦手らしく、島から出たこともあまりないとのこと。
 しばらく話した後、おじいさんがしきりにカウンター後ろのステージを指さしてなにかを伝えてきます。ちなみにこの飲み屋のカウンターの真後ろには、三線や和太鼓、マイクなどが置いてある簡易的なステージがあります。どうやら、そろそろ催し物が始まるということを教えてくれているみたいです。そのあとにステージとおじいさんを交互に指をさして何かを伝えてくるのですが、今度ばかりは何を示しているのか全く分からず「???」となっていました。
 そんなこんなしていると、先ほどまで料理を忙しそうに運んでいたおねえさんや魚を捌いていた店主さんが裏からでてきて演奏の準備を始めます。
 お店の人演奏もできるのかーと思っていると、「島の人間は大抵三線弾けるし民謡歌える」とおじいさんが教えてくれました。まじか、すげえ……
 何曲かおねえさんや店主さんが久米島の民謡を歌った後、おもむろにおじいさんが席を立ち、ステージの方へ歩き始めます。唖然としながら見守っていると、なんと演奏者のいなかった和太鼓の前に立ち、演奏しながら他二人と共に歌い始めるではありませんか。
 しばらく混乱と共にそのステージを眺めていましたが、ふと先ほどの謎のジェスチャーはこれを示していたことに気づきます。
 その後、何回か楽器を変えて演奏をしてから席に戻るおじいさん。いろいろ聞いてみると、若い頃は三線を演奏しながらバックで踊り子を踊らせるようなことをしていたのだとか。その趣味が続き、今ではこの店のステージで演奏させてもらっているらしいです。
 若い頃からこの歳までずっと同じ趣味が続いているなんてすごいな、と思うと同時に、ふと今自分がやっている趣味でおじいさんの歳まで続いているものがいくつあるのだろう?となんとなく考えてしまいました。とりあえず自転車旅は続けていきたいなあ……
 そんなこんなでしばらくおじいさんと話していたのだけれども、寝る時間が近づいてきたので宿に戻ることに。

 宿に戻った後は、フロントにいる奥様と少しだけおしゃべりしてから部屋に戻ります。
 乾いた洗濯物をバッグに詰め込んだりして明日の準備を全て済ませ、布団にもぐりこみます。
 明日は念願の久米島一周。どんな景色が待っているのだろうかと期待に胸を膨らませながら、眠りに落ちていきます。スヤァ……

 後半へ続く