自転車旅のきっかけ~現在に至るまで

2018年6月21日

 どうも、拓夏です。
 第一の旅立ちの日のことを書く前に、そもそもなぜ自転車旅をしようと思ったかということを自分でも忘れないうちに綴っておこうと思います。


伊豆大島一周

 きっかけは、昨年の8月にサークルの合宿でいった伊豆大島にあります。
 ある事件に巻き込まれてサークルの一部の人間ともめたり、研究室で忙しかった私は、数人の同期と後輩を除いて、夏までサークル関連の友達とは顔を合わせていませんでした。
 だから、ほぼ半年ぶりくらいに同期の人間と会いました。半年も時間が開けばそりゃ話題に事欠かないはずで、移動中のフェリーの中ではずっと話をしていました。
 その時、話していた同期の1人に、弱ペダをきっかけにめちゃくちゃ自転車にはまっている奴がいました。昔、自転車でけがをしたとかで「自転車にはもう乗らない!」って言っていた奴だったので、すごく意外だったのを覚えています。
 そいつは、合宿中にレンタルチャリ(クロスバイク)で島を一周するつもりらしく、面白そうだったので私も一緒についていくことに。

 で、この大島一周がめちゃめちゃ楽しかったんですよ!!!
 
 腰の重い私が、めんどくさい準備とかもろもろをしてでも自転車旅を始めてしまうくらい楽しかったんです。
 島一周してる最中は、本当にとにかく楽しくて、マジで楽しいという感情以外がなかったです。具体的には、目の前に海が見えてきただけで叫びだしたり、海の横を走っているだけで興奮して叫んだり、山の緑と海の青のコントラストの美しさに発狂したりしていました(つまりほぼ叫んでいた)。私が曲芸の使い手だったら自転車に乗ったまま踊りだしていたんじゃなかろうか。
 風を切って走ってるとき、なぜだか世界ってこんなに広いんだなって思ったし、そんな広い世界を自転車と身一つでどこまでも走っていけるような気がしました。

 大島一周の際撮った写真。青と緑のコントラストの美しさに常時発狂しまくりでした。

 その頃は、ここでは書けないいろいろな出来事や研究室での様々な理不尽によって精神的に疲弊していた時期でした。研究室に居ると自己嫌悪や劣等感からくるストレスと、外部からくるストレスでどんどん自分がつぶれていく感覚がありました。そこで逃げればよかったのですが、逃げたら負けだという意地があったことや、作業量の問題や自分の研究があることも重なって逃げることができず、日に日に精神が疲弊していきました。
 研究室内のごたごたや誰かが誰かの悪口を裏で言って笑っているのを見て嫌悪感を抱きながらも、いざその話題をふられれば無難な言葉を返したり、その言葉を考えている自分自身がもっと嫌になったり。それ以外にも自分の研究がうまく進まない状況への焦りを初めとした様々なことが重なったりして、精神衛生の悪い状況が毎日続いていました。
 そんなことが続いていたせいもあって、その当時はこの世界があと何十年もある人生の中でずっと続いていくような絶望感を抱いていました。同時に、こんなつまらない世界で生き続ける意味があるのかということばかり考えていました。自分が楽しく生きていく将来が全く想像できずにいました。

 そんな精神状態だった私は、必要以外の事がめんどくさくなっていました。昔みたいに趣味に打ち込む元気も、休日にどこかへ出かける元気も失っていました。そもそもの時点で、やりたいこともわからなくなっていました。
 だから、研究室と家以外の場所にはあまり行きたくなかったし、いったとしても楽しめなかったりする状態が続いていました。

 正直、合宿にもあまり乗り気ではありませんでした。
 大学最後の合宿だし、こういう合宿とかでみんなと居られるのも最後だから行こうかって思って重い腰を上げて行ったはいいものの、ここまで楽しめるとは思ってなかったです。

 ヒルクライムしてる時に撮った写真。初心者には勾配がきつかったが、その分景色が最高だった。

でも、大島を一周して、風を切って走る感覚とか、漕げば漕ぐだけ前に進んでいく感じとかがすごく気持ちよくて最高で、自分の劣等感とか自己肯定感の低さとか、研究室のこととかが何もかもどうでもよくなるほど、楽しい以外のことを考えられないくらい楽しかった。
 それで、なによりも大切なことを思い出せたような気がしたんです。正直誰にどう思われようが、誰に何を言われようがどうでもいいじゃないかと。誰かよりなにかができなくても構わないじゃないかと(そもそも私はアホだし)。やりたい事できてりゃ人生幸せじゃないか、と。
 なによりも、島一周時に感じた「世界って広い」って実感と、そんな広い世界がどこまでも続いているなら、その世界を巡ってずっとワクワクできたらなんと幸せなんだろうと思ったんです。

相棒との出会い


 最高だった大島との別れの後、すっかり自転車と島に心を奪われていた私は、まずは旅を共にする相棒(自転車)を手に入れるべく、自転車屋に行きました。
 近所にあるスポーツチャリ専門店のおっちゃんに自転車の用途とかをもろもろ相談したところ、丁度店にあるチャリの一つによさそうなものがあるということで見せてもらうことに。

 それが今の相棒、MERIDA RIDE400(メタリックブルー)との出会いだった……
 
 正直一目ぼれでした。すぐにでも手に入れたい気持ちでいっぱいでした。
 チャリ屋のおっちゃんも、君に合うフレームサイズのが辛うじてまだ残ってるからほしいなら頼んであげるよっていってくれました。
 しかし、大学4年にしてバイト経験ゼロの私にロードバイクを買う貯金などあるはずもなく、なによりも即決する覚悟もなく、少し考えさせてくださいとだけいってその日は店を後にしました。

 その後、他のスポーツチャリ屋を巡りましたが、最初に見たMERIDA RIDE400忘れられず、結局一週間後にまた同じチャリ屋に行くことに。
 店に入っておっちゃんにこの前みたチャリの購入をしたいと打ち明けると……

 おっちゃん「あ、そういうと思って取り寄せといたよ」
 私「……へ?」
 
 その後に「君のロードバイクとして買っておいたよ」と言われ、胸が熱くなりました。
 というか、私が来なかったらこのチャリどうするつもりだったんだおっちゃん……
 
 なにはともあれ、ロードバイクが手に入ることは確定しました。
 しかし、貯金もくそもない私は現時点では買えないので、分割払いでの支払いの後、最後に車体を引き取ることにしました。
 とりあえず、その日は前金を振り込み、店を後にすることに。
 
 さて、お金の工面はどうするか……
 完全に見切り発車で購入を決めてしまったため、全くあてがありません。
 とりあえず、まずは使ってないものやいらないものを全て売り払いました。
 しかし、売値は全て雀の涙程度にしかならないので、ロードバイクを買えるほどの金額にはなりません。
 次にやったのは、生活費の見直しです。家賃・光熱費は、削減できない、もしくは削減してもそこまでの金額にならないので、ひとまずは保留にします。一番手っ取り早く効果があるのは食費なので、食費を徹底的に見直します。
 いままで、無駄に金を使っていた外食や酒を徹底的に排除し、食事は全て自炊にします。食品は、週に1回業務用スーパーでまとめ買いし、それ以外では財布の口を絶対にあけませんでした。こうすることで、いままで無駄に使っていた食費を2万円以内に抑えました。しかし、これでもまだまだロードバイクを買える金額には届きません。
 最後の手段として、いままで頑なにやってこなかったバイトを始めることにしました。
 9時から21時までは研究室に拘束されるため、それ以外の時間帯でバイトを探すことにしました。金額が高いのは夜勤ですが、日中なにかしらの支障が出ると困るので、早朝勤務にしました。幸い、大学1・2年の頃は片道3時間かけて通学していたこともあり、早起きはそこまで苦手ではありませんでした。
 求人を見たり、友達に聞いて回ると、サークルの友達が働いているコンビニで丁度早朝勤務の人手が足りなくなって困っているようなのでそこで働くことに。
 とりあえず、早朝勤務に週3で入ってお金を稼ぎました。(なお、後に週4になる模様)
 
 こうして何とかかお金をかき集めた結果、3ヵ月でロードバイク(相棒)を手にすることができました。
 金額を全て支払い終えて自転車を引き取った時、「やってやったぜ」という気持ちと「ようやくここから始まるんだな」という気持ちが入交り、なんともいえない感慨と期待感で胸がいっぱいでした。

現在は……


 相棒を手に入れた後も食費削減生活とバイト生活は続き、貯めたお金で旅に必要な1眼レフや自転車関連の品を買っていきました。
 そして、今は、自転車とカメラと一緒に様々な所へ旅に出ています。
 旅に出るたびに、大自然が作り出す絶景への感動と度重なる失敗から得る教訓など得ています。旅自体から学ぶこともあるし、旅で出会った人達とお話しすることで考えさせられることもあります。
 旅に出る度に、自分が日常的に所属しているコミュニティを飛び出して、いろいろなものや人と触れ合うことの大事さを実感します。狭いコミュニティ内に居続けると、コミュニティ内の固定観念や常識に囚われて、自分がゆがんでいくような気がするからです。
 日常という安定から飛び出して、非日常という不確実なものへ飛び込むのって、自分が知らない内に染まっているコミュニティ内の固定観念とか常識とかを崩すのに一番手っ取り早い方法な気がします。
 
 なによりも旅は楽しい。
 上にいろいろと気難しいことを書きましたが、まじでこれに尽きる。
 自分がいったことがない場所にいって、気ままに自転車を走らせる。たまにグッとくる景色があった時は自転車を止めて写真を撮る。うまそうなものがあったら食う。最高。
 たまに激坂とかに出会ったときは、降りて自転車をひいて歩くこともあったりするけど、それすらも自転車旅の良さだと思います。
 
 なかなか休みがなくて旅に出られる時期は限られますが、休みが取れたときは必ず旅に出るようにしています。
 
 このブログでは、私が津々浦々をぶらぶらと自転車で巡っていく様子を書き連ねていこうと思っています。更新速度はナメクジのように遅いですが、気が向いたときにでも読んでいただけるととてもうれしいです。

P.S. 次は2/27~3/2に行った久米島旅行の記事を上げようと思ってます。