能登半島探訪記【輪島~穴水】

2022年5月29日

 どうも、拓夏です。
 能登半島探訪記の続きです。前編はこちらからどうぞ。

 穏やかな内浦と愛車と

【三日目】能登半島 絶景欲張りツアー【輪島~鉢ケ崎】

 波の音で目を覚ます。時刻は5時半。
 テントを開けて外に出ると、心地よいひんやりとした海風が肌を撫でた。
 昨日はめちゃくちゃ寒かったので、今日も震えながら目覚めることを覚悟していたのだが、杞憂だったようだ。

 テントを出ると、目の前には朝日に照らされた海がお出迎え。空を見ると雲一つない青空が広がっていた。今日の天気は勝ち確定だろう。
 海を眺めながらのんびりしていると、隣で撤収作業を終えたおじさんに挨拶される。どうやら、もうキャンプ場を出る様子だった。それにしても、なかなかに早い出発だ。
 私は、8時開始の輪島の朝市を見る予定だったので、今日は少し時間に余裕があった。
 のんびりと撤収し、7時半ごろにキャンプ場を出た。

 キャンプ場を出て、輪島の市街地まで走る。少しして、朝市通りに到着。
 私が到着した時点で、既に人がちらほらいる状態だった。流石、日本三大朝市に数えられているだけあり、このご時世であっても盛況の様子だった。

 輪島朝市!

 朝市通りを歩きながら、目的の店に急ぐ。
 目的の店では、既に人が大勢並んでいた。くそ、出遅れたか……!
 行列にならび、一時間半近く待つ。朝から何も食べてないので、腹の虫が鳴る。おなかすいた……(白目
 待ちに待って、私の番がようやくきた。店の中に入り、目的のメニューを頼む。
 頼んでそう待たずに、目的のブツは来た。

 輪島ふぐ丼と串さしみ!

 輪島ふぐ丼は、ぶつ切りのふぐととろろがうまく絡み合っており、とても美味な一品だった。串さしみも、タレとこりこりとした食感のふぐがうまくマッチしており、これもまた美味な一品。

 うまい、うますぎる……!

 可能であれば、もう一杯おかわりしたいと思ったし、なんならもうここで旅おわっていいんじゃないかと魔が差すほどの一品だった。ごちそうさまでした。

 食べ終わった後は、路地裏とかをうろうろ。
 
 路地裏の風景。こういう港町の路地裏の雰囲気が好きだったりする。

 あまり人が多くならないうちに撤収する。
 輪島朝市を後にし、次の目的地へと向かう。

 雲一つない青空の下を進む。左側に見える海は、相変わらず綺麗でテンションが爆上がりする。

 海沿いをひた走る。

 しばらく、海沿いを走ると、今日の目的地の一つである「白米千枚田」に到着!

 白米千枚田!

 白米千枚田は、世界農業遺産にも登録されている伝統的な棚田であり、能登を代表する景勝地の一つ。急斜面に作られた棚田は、1004枚に渡るらしい。
 
 日本海にせり出す広大な棚田に思わず目を奪われる。日本海の青と棚田の緑がいい感じにマッチしていて美しい。
 これは、秋の稲穂が実る時期にも一度見ておきたい絶景だなあとなんとなく思った。
 
 白米千枚田は、あぜ道が整備されていて歩けるようになっているため、近くに寄ってみることができた。カメラを片手に動き回る。



 日本海と棚田がマッチしすぎていて素晴らしすぎる。
 夕方とかだと、また違った印象になるのだろう。可能性が沢山ある景色だと思った。

 少し後ろ髪を引かれつつ、白米千枚田を後にする。
 
 再び海沿いを走り続ける。
 ぶらぶら走っていると、目の前にこんな光景がお出迎え。

 沢山のこいのぼり!

 沢山のこいのぼりが青空を泳いでいた。思わず、足を止める。
 「なぜ、こいのぼり?」と思ったが、こどもの日が近いことに気づいて合点がいった。
 無数のこいのぼりが風になびいている様は圧巻だった。

 こいのぼりを後にして、再び海沿いを走る。
 爽やかな涼しい風が肌を撫でていて気持ちがいい。初夏が自転車で走るのに一番いい季節だなあと思う。

 そんなこんなで走っていると、次の目的地に到着する。


 ゴジラ岩!

 能登半島に数多ある奇岩の一つであり、ゴジラに似ているからそう名付けられたらしい。
 それにしても、ちっちゃい。写真は拡大しているからなんとなく形がわかるが、遠目からみると「どれ???」となってしまうくらいのサイズ感だった。看板がなければ気づかなかったかもしれない。
 周りの人たちも、困惑した表情でゴジラ岩を見ていた。そりゃそうなる。

 ゴジラ岩を後にして、海沿いを再び走り出す。

 海沿いをはしっていた時にみつけた島みたいな奇岩。名所でもなんでもないところにあるこういう景色が好きだ。

 ご機嫌に海沿いを走っていたら、突如、11%の勾配がある坂道が出現。
 困惑する間もなく、ヒルクライムが始まる。なんてこった。

 痛む膝を悪化させぬようにゆるゆると進む。うおおおおおお!!!

 突如現れる、勾配11%の坂。

 ヒルクライムは辛いが、日本海の青が美しくて辛さがどうでもよくなる(単純

 軽いギアでゆるゆると漕いでいたら、そこまで長い道ではなかったようで、すぐに頂上に到着した。

 ゴールの看板。こういうのが用意されていると嬉しい。

 展望台で一休みしてから、出発。
 11%の坂を登ってきた甲斐もあり、進む道は下りだった。風をきりながらすいすいと進む。

 下っていくと、道の駅「狼煙」に到着した。

 道の駅「狼煙」に到着!

 時刻はすっかり昼だったので、近くのお店で腹ごしらえをすることにした。

 ハンバーグカレー!

 ヒルクライムを終えた後の身体にカレーが染み渡る。ハンバーグもジューシーでおいしかった。ごちそうさまでした。

 ご飯を食べ終わった後は、道の駅でおやつを買う。

 とうふソフト!
 
 とうふのまろやかな甘さがソフトクリームとマッチしていて、とてもおいしかった。

 少し休憩してから、道の駅のほど近くにある次の目的地へ。
 看板に従って道路を挟んで向かい側にある階段に進もうとすると、道の駅の駐車場で交通整理をやっていたおっちゃんに声をかけられる。どうやら、目の前の階段を進むよりも、道路沿いに少し歩いたところにある道を進んだ方が早いし楽なのだそうだ。へえ!

 おっちゃんにお礼を言って、道路沿いの道を進む。ほどなくして、上り坂が見えてきたので歩いていく。

 しばらく歩くと、目的地である「禄剛崎」に到着した。
 
 禄剛崎!能登半島最先端きた!!

 禄剛崎は、能登半島の先端に位置する岬であり、日本海を一望することができる場所だ。晴れていれば立山連峰や佐渡島も見られるらしい。
 先端部に立っている禄剛崎灯台は、日本の灯台50選にも選ばれているのだとか。
 (そのほかにも、「近代化産業遺産」や「恋する灯台」にも選ばれているらしい。すげえ。)

 禄剛崎灯台!

 丸みを帯びているフォルムでかわいい。窓ガラスが太陽光を反射してキラキラと輝いており、美しかった。
 この一帯は海難事故が多く、灯台が出来る前は航路を照らす狼煙が古くから挙げられていた場所なのだとか。その影響で、この近辺には狼煙と名の付く場所が数多く残っている。地名である珠洲も狼煙(正確には「すすみ」であり、古訓で狼煙を意味する。wiki先生情報)にちなんでいるらしい。

 灯台を堪能した後は、海を眺める。
 展望台の手すりから眼下を見下ろすと、美しいマリンブルーとどこまでも続く水平線が広がっていた。
 思わず、心の中で「うおおおおおおおおお」と叫んでしまう。そんな絶景。

 海!!!

 崖下には、無数の細かい溝が平行に走っている形状をしている岩畳が広がっている。この岩畳は千畳敷と呼ばれており、波に浸食されてできた地形らしい。日本海の荒波が作った芸術の一つ。
 ちなみに、禄剛崎は外浦と内浦の接点に当たるため、海から上ってくる朝日と海に沈む夕日を見られる場所らしい。早朝と夕方にも一度来てみたいなあ。

 上海まで1598Km!

 展望台付近には、こんな看板があった。各地にある、こういう看板が地味に好き。
 
 禄剛崎を十分に堪能した後は、次の目的地へ。
 急勾配の下り坂を下って進む。これを後で登ると思うと気が重いぜ。
 
 青い洞窟!

 そんなこんなで能登半島のパワースポット「青い洞窟」に到着。
 入場料1500円を払って中へ。
 おじさんが入り口付近で回る順番を説明していたが、特に決められているわけじゃなさそうなので適当に歩く(おい

 入り口を過ぎてすぐに開けた景色がお出迎え。
 


 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!

 思わず叫びそうになる絶景にテンションが振り切れる。
 ワイルドな断崖と奇岩の数々と宝石のような透明感のある蒼に心を奪われる。この光景を見られただけでも、1500円を払った価値がある。

 荒ぶるテンションを抑えつつ、まずは能登半島の真の先端へ。
 禄剛崎は能登半島の最北端であるが、能登半島で一番せり出している部分はこの場所らしい。てくてくと歩いて先端へ。

 能登半島の先端からの景色!

 なんだこの海は!!!

 見渡す限りのマリンブルーに目を奪われる。能登半島の先端には、こんな美しい景色が広がっていたとは……!
 いつまでも眺めていられそうな景色だ。

 絶景を目に焼き付けた後は、一番の目玉である青い洞窟へ!

 青い洞窟!

 青い洞窟の中は、その名の通り青い光でライトアップされていた。人工的な光が眩しい。
 洞窟の奥にある波打ち際は、能登半島のパワーがたまっているパワースポットらしい。水際に手を浸して願いを思い浮かべると、願いが叶うと言われているんだとか。
 海水に手を浸しながら、「膝が治りますように」とだけお願いした。ホントに治してくれ、頼む。

 膝の命運を神様に託して、青い洞窟を後にする。能登半島の絶景が見られて満足だった。

 青い洞窟を出た後は、今日のキャンプ場に向けて走り始める。
 急勾配をゆるゆると登っていると、目の前にこんな光景が見えた。


 うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

 思わず叫びたくなるほど美しい海が広がっていて、テンションが上がる。
 能登半島は、どこを切り取っても絶景だらけだなあと思う。こんなに美しい景色が連続している場所も珍しいと思う。

 上がっていくテンションにまかせて急勾配を登り切り、海沿いをひたすら走った。
 ほどなくして、今日のキャンプ地である「鉢ヶ崎オートキャンプ場」に到着。
 受付を済ませ、キャンプ場の中へ。

 鉢ヶ崎オートキャンプ場は、オートキャンプ場なのもあって家族連れやデュオでキャンプしている人たちが多かった。真ん中にある芝生の広場で、子供たちがキャッチボールをしている様を見つつ、割り当てられているサイトに向かう。

 一人用テントには広すぎるサイトをふんだんに使い、テントを設営する。
 
 今日の宿。

 もろもろの準備を済ませたあと、ご飯でも食べに行こうと思って近場のご飯屋さんをさがす。ここで問題が発生する。

 近くにご飯屋さんがない(白目
 キャンプ場の近くにレストランがあったが、なんと17時で閉店したらしい。なんてこった。
 なお、コンビニやスーパーの類も少し遠い場所にしかなく、一番近くにあった個人経営っぽい雰囲気の商店も閉店間近だった。まじか。

 最後のあがきでキャンプ場の売店に赴くも、飯の類はカップ麺が少数あるのみ。
 コッヘルが無くてお湯を沸かせないので、カップ麺は食べられない。詰んだ(白目

 私はあがくのをやめ、じゃがりこと日本酒を買って売店を出た。
 仕方ない。今日は、補給食として持ち歩いているカロリーメイトを晩餐にしよう。こういうときはあきらめが肝心。
 (なお、明日の朝もカロリーメイト確定の模様。)

 虚無を抱きながらテントに戻り、ごろごろしたり、キャンプ場に備え付けられているコインランドリーで洗濯等をしながら過ごす。
 このキャンプ場内に2棟あるサニタリーハウス(トイレとシャワー室とコインランドリーと流し台の併設されている建屋)がとても便利で感動した。洗濯機と乾燥機が1棟につき3つずつあるので、洗濯が混みあわなくて地味に助かる。単に早い時間だったからこまなかったのもあるかもだけれど。
 
 また、ここのコインシャワーも5分で300円だったのが個人的に助かった。シャワーの装置についているボタンを押すとシャワーが流れず使用時間を止められるので、節水しながら使った。
 
 なんだかんだでいろいろと済ませていたら、すっかりと日が暮れていた。
 寝転がったままテントの扉を開けて空を見上げる。頭上には満点の星空が輝いていた。
 その状態で、じゃがりこをつまんで日本酒を飲むと、何とも言えない幸福感に包まれる。最高。

 星空とじゃがりこで一杯やっていたら、ふと眠気が襲ってきた。
 瞼を閉じると、いつの間にかまどろみの中に落ちて行った。スヤァ……

【4日目】巨大イカと海と激坂と【鉢ケ崎~穴水】

 アラームの音で目が覚める。時刻は5時。
 もぞもぞしながら寝袋から這い出て、テントの外にでる。
 テントを出た瞬間、ひんやりとした空気が頬を撫でた。一昨日ほどではないが、肌寒い気温に身震いする。
 あたりを見渡すと、人ひとりいない。家族連れのキャンパーが多いのもあり、この時間はまだ寝ている人が多い様子。

 サニタリーハウスの流しで顔を洗って歯を磨く。蛇口から出る水は、雪解け水のような冷たさだった。おかげですっかり目が覚めた。

 キャンプ道具をしまい、バッグ類を自転車に括り付けて出発する。
 今日は、能登半島を回る最後の日。
 本来であれば、能登半島の外周と能登島を回って富山の方に抜けるつもりだったが、膝に爆弾を抱えているので、ここから一番近い駅である「穴水駅」まで走り、金沢に戻ることにした。
 予定していたルートを走り切れなかったのは残念だが、能登半島のいいところは大体見られたので満足していた。穴水駅くらいでおわるのが丁度いいかもしれない。

 相変わらずクリートがはまらないままペダルを漕ぎ、民家の立ち並ぶ通りをゆるゆると走る。

 キャンプ場から少し走ったところで、今日の最初の目的地である「見附島」に到着する。

 見附島!

 海の上にポツンと聳える見附島は、陸に向かってくる軍艦のようだった。迫力がすごい。
 弘法大師が佐渡から能登へ渡る際に発見したと言われている島で「見つけた」というのが名前の由来らしい。そのまんまだ。
 軍艦のような形をしているため「軍艦島」と呼ばれることもあるそう。

 軍艦のような岩の上に木々が生い茂っているのが、ワイルドでかっこいい。
 島の横に縄のような跡があるのも、趣があって良い。

 島までは、途中まで岩が敷き詰められて作られた足場があるので、近くまでいって観察することができる。近くまで行って、写真を沢山撮った。

 水面に映る見附島も美しい。

 見附島を後にし、次の目的地へと走る。
 民家の立ち並ぶ道と海沿いの道を交互にこなしていると、こんな看板が目に飛び込んでくる。
 

 この海岸沿いは、はるか昔に悲しい別れをした男女の恋の伝説にちなんで恋路海岸と呼ばれているらしい。
 今回は立ち寄らなかったが、その伝説にちなんだモニュメントなども置かれているらしい。

 恋路海岸で見かけた島。美しい。

 海沿いをゆるゆる走り続ける。

 海!

 愛車と共に

 海沿いを走り続けていると、次の目的地である「九十九湾」に到着。
 自転車を停めて、九十九湾沿いにある「九十九湾遊歩道」を歩く。
 気温が丁度良く、雲一つない青空なのもあって散歩するには心地よい日和。



 海の水は透き通っていて、海の底までくっきり見えるほどだった。美しい碧の海に感動する。


 
 湾の中心にある蓬莱島は、木々が繁茂していて美しい。飛び石の道を歩きながらこんな光景が目に入ってくるので、ワクワクが止まらなかった。ちょっとした冒険感があって楽しい。

 景色に夢中になりながら歩いていたら、3kmの道のりなどあっという間だった。楽しかった。
 来た道を戻って、九十九湾を後にする。

 九十九湾を出た後は、腹ごしらえをしに道の駅へ。

 イカの駅「つくモール」!
 
 道の駅ならぬ「イカの駅」。
 小木の特産品である船凍イカにちなんで「イカの駅」となっているのだろう。

 でかいイカのモニュメント。子供たちに大人気だった。

 建物の横には、巨大なイカのモニュメントが置いてあった。
 このイカの口の部分は子供なら入ることができるらしく、ちびっこたちが中に入って遊んでいた。楽しそう。

 そんな子供たちを横目に、建物の中へ向かう。
 朝からカロリーメイトしか食べてなかったのもあり、腹が減りすぎて限界だった。腹から雷鳴が聞こえる。
 急ぎ足で駅の中にあるレストランに向かった。

 味付きイカ丼!

 小木の特産品である船凍イカをふんだんに使った一品。イカは、普通のものよりも甘みが強くておいしかった。ごちそうさまでした。

 腹ごしらえを終えて、イカの駅を後にする。
 ここから先は、穴水駅を目指してひたすら走り続ける。

 海沿いから逸れると、長い長い坂に差し掛かった。
 直射日光に当てられて汗だくになりながら、軽いギアで回す。

 爽やかな青空と山の中の道と直射日光と

 しばらく走っていると、こんな標識を見つけた。


 わあお(白目
 
 何も考えないで、軽いギアで回しながら上っていく。

 それにしても、能登半島はそこそこ上りがあってびっくりする。昔調べた時、能登は上りがほとんどないって書いてあったような気がするけど、あれはなんだったのだろう(白目
 今は上りに強いホイールを履いているから苦しくないけれど、鉄下駄だったら普通に泣いてたと思う。

 長い上りと下りを繰り返しながら走っていたら、再び海沿いに出た。

 穏やかな水面
 
 目の前に見える海は、昨日見た外浦の荒々しさが嘘のように穏やかだった。凪いだ水面は空と同化して境界線がぼやけており、海と空とがつながっているように見えた。
 幻想的で美しい光景に、思わず息を飲む。

 穏やかな海を横目に、ゆるゆると漕いでいく。

 穏やかな海のそばをひたすら走る。
 
 空と海が溶けあう。

 愛車と共に

 内浦は穏やかで、外浦の荒々しさと対称的だった。外浦と内浦でこれだけ印象が違うのだから、海というのは奥深い。

 海沿いを逸れて、少しまた上って、市街地をゆるゆると漕ぐと、能登半島めぐりの終着点である穴水駅に到着した。

 穴水駅に到着!

 いかにもローカルな駅舎が良い。
 邪魔にならないところで、自転車を分解し、輪行袋に詰め込む。
 今回は、海沿いをひたすら走ってきたからか、車体が砂でがっつりと汚れていた。大体、なぎさドライブウェイのせい。
 
 輪行袋を担いで駅の中に入り、券売機で金沢行きの切符を買う。
 穴水から金沢に行くためには、七尾でのと鉄道からJRに乗り換える必要があるのだが、切符自体は金沢行きのものを買うことが出来る。便利。
 
 改札を抜け、目の前に停まっている七尾行きの電車に乗り込む。発車時刻が近かったのもあって、電車はほどなくして発車した。

 車窓からの景色を眺めながら、今回の旅に思いを馳せる。
 今回は、日本海の鮮烈なマリンブルーが印象的な旅だった。どこを走っていても、視界に映る宝石のような海に終始感動しっぱなしだった。外浦の日本海らしい荒々しさと内海の穏やかさが対象的だったのも、とても面白かった。
 膝を壊したり、クリートが途中からはまらなくなるトラブルがあったものの、そんなものが全部どうでもよくなるほどの絶景が広がっていて、誇張なしにいままでで一番楽しかった旅だったと思う。

 ともかく、日本海が大好きになる旅だった。
 車窓から見える日本海は、晴天の空の下で宝石のように輝いていて、相変わらず美しかった。揺れる電車の中で移りゆく景色を眺めながら、またこの蒼に会いに来ようと、心の中で静かに決意した。


 能登半島探訪編 終わり
 次回、金沢探訪編。