【2020年道央旅】支笏湖と羊蹄山と時々小樽【1日目】

2020年8月26日

  どうも、拓夏です。
 2020年の7月24~7月27日に道央に行った時のことを書いていきます。

 支笏湖にて

1日目(7/24):新千歳空港~美笛

 新千歳空港の自動ドアを抜けると、青空とカラッとした空気に出迎えられる。
 空を見ると、青空が広がっていた。雲が少しでているのを見て、今朝みた天気予報が曇りだったことを思い出す。この天気もそう長く続かないかもしれない。早めに走ったほうがよさそうだった。

 2020年7月24日 8時30分。
 私は7月後半の4連休を堪能するために、北海道の大地を踏みしめていた。
 
 この4連休に北海道に来た理由はただ一つ、晴れているから(安直
 
 安直ともいえる選択だけれど、自転車乗りにとっては重要な問題だ。
 特に今年は、例年よりも梅雨が長引き、7月後半になっても全国的に雨が続いている状態だったからなおさら。
 本来、私はこの4連休に能登半島へ行く予定だったのだけれど、石川県の天気が4日とも雨になったのを見て、能登半島行きを泣く泣く断念した。
 だけれど、このまま4連休を何もせずに過ごすのももったいなかったので、全国の天気予報を開いて血眼になって晴れている場所を探した。
 その結果、見つけたのが梅雨のない北海道と梅雨明けした沖縄。
 沖縄に行くのは、ご時世的に断念したほうがよさそうだったので、なんやかんやで北海道に白羽の矢がたったのだった。ちなみに、これを決めたのは出発の前日(
 新幹線の切符を払い戻し、航空券を予約し、空港付近に前日泊をして、早朝便に乗ってなんやかんやで現在に至る。(ちなみに、今回はキャンプツーリングでいきます。)

 
 空港の邪魔にならないところで輪行解除し、荷物を取り付ける。
 と、ここで問題発生。

 フレームバッグのチャックが壊れた(白目

 おいまじかよ。と空港の隅で思わずぼやいてしまうくらい、この事態は死活問題だった。
 フレームバッグには、充電器や工具類などの頻繁に使わないものを収納しており、走行中に開くことは滅多にない。けれど、バック自体がフレームサイズよりも若干大きいのもあって、ペダリング中に頻繁に足が当たるところなので、チャックが壊れた状態で走ると、走行中に物が零れ落ちてしまうかもしれない。
 チャックを開け閉めして直そうと試みるも、うんともすんとも言わない。しょうがないので、雨用に持ってきた45Lのポリ袋をかぶせて応急処置することにした。
 
 なんだかんだで出発準備を終え、最初の目的地である支笏湖を目指して走り出す。
 新千歳空港を出て西に向かって走る。道は、緩やかな上りだったけれど、R-sisの恩恵もあってするすると上っていく。
 鼻歌を歌いながらグーグルマップに従って走りつづけていたのだけれど、途中で林道のような道に入ったあたりで雲行きが怪しくなる。
 林道にはいって、少し走ったところで、このような標識を見つけた。


  まさかの車両通行止め(白目
 
 そういえば、グーグルマップを使うときは徒歩のルートを使っていたんだった。
 想定していない事態だけれど、動じない。なんせ、この試される大地もこれで3回目だ。こういう事態は起きてもしかたない。(完全に事前調査が足りないことには目をつぶる)
 すぐに別のルートを探すと、どうやら千歳駅側まで行く必要があるようだった。
 距離的には10kmで、ほぼ来た道を戻ることになるっぽい。目から汗とは違うなにかが流れてくるのを感じた。

 気を取り直して千歳駅側に向かって走り出す。
 千歳駅付近の道路を駆使して正規ルートへと戻り、再び支笏湖へ向かって走り出す。

 
 曇りの予報とは思えない青空。このまま、晴れてくれるといいなあ。

 市街地を出たあたりで、クロスバイクのおにいさんと出会う。出会う、といっても会話などをしたわけでなく、ただ一緒に走っているだけだったのだけれど、同じ自転車乗りなのもあって少し親近感が湧いた。クロスバイクのおにいさんは、私の後ろにつくようにしてずっと走っていた。もしかしたら、風よけにされてただけかもしれん。

 支笏湖へ向かう道は、延々と上りだった。けれども、ホイールの性能がいいおかげでするすると上れる。いままでだったら、この程度の上りでも途中で降りて自転車を引いて歩くこともあったのだけれど、そんな予兆もない。このホイールに変えてから随分と上りが楽になったなあ。
 お兄さんと一緒に順調に上っていたのだけれど、フレームバッグに括り付けていたビニールが剥がれ落ちそうだったので、一旦止まって縛りなおす。
 お兄さんは、「先に行きますね!」といって颯爽と走っていった。お兄さんは、クロスバイクだと思えない速さで上りを駆け抜けていった。あっという間に見えなくなる。
 お兄さんは、途中で何度か振り返る仕草をしていた。もしかしたら一緒に走りたかったのかもしれない。

 ビニールをしっかり縛り終えてから、支笏湖に向かって走り出す。
 少し走ったら、こんな看板が見えてきた。


 支笏湖入りの看板。目的地はもうすぐみたいだ。

 しばらく走ると、支笏湖の温泉街(というか公園)に到着。
 時計を見ると、丁度お昼ごろだったが、昼飯を後回しにして屈斜路湖を見に行くことにした。

 温泉街から支笏湖に向かうと、目の前に広大な湖がお出迎え。
 あまりにでかすぎて、「ここは海なのでは??」と思った。それくらい大きい。


 支笏湖。水の透明度がやばい。

 今日の天気は煮え切らない曇りだったのだけれど、その中でも支笏湖の広大さは色あせることはないようだった。特に、湖の透明度には感動しっぱなしで、その感動を残したくてシャッターを切り続ける。
 だけれど、支笏湖の雄大さと美しさは写真に納まりきらず、結局はその一部分を切り取るにすぎなかった。写真っていうのはそういうものなのかもしれないけれど、それがなんとなく歯がゆかった。

 ぶらぶらと探索していると、目の前にこんな光景が飛び込んでくる。


 うおおおおおおおおおおおお!!!

 目の前に現れた美しい碧に、思わず心の中で叫びだす。
 そして、しばらく見とれた。大自然が生み出す碧の美しさに心を奪われていた。 


 千歳川。こっちの透明度もすさまじい。

 支笏湖の水の透明度はすさまじかったけれど、それと同じくらい感動したのは、支笏湖に繋がっている千歳川。
 支笏湖と千歳川の合流点を橋の上から眺められるのだけど、川底の細かい小石や水草が揺れている様子まで全てわかるほど水が綺麗だった。川底はそれなりに深かったけれど、それでもくっきりと見えるのに衝撃を受けた。一瞬、3DCGなんじゃないかと思ったくらいの綺麗さ。
 ちなみに、川底の水草の影響か、川を遠目から見ると緑色に見える。

 支笏湖を一通り探索し終えたので、飯を食うことに。
 この辺りは、温泉街として栄えているのもあって、売店やレストハウスのような場所が多くあり、飯を食う場所には困らなかった。
 とりあえず、近くの定食屋に適当に入る。
 

 ヒメマス定食。

 思っていたよりも豪華なものが来て驚く。
 とりあえず、ヒメマスを醤油につけて口に運ぶ。ヒメマスのプリプリとした食感がたまらい。夢中で食べていたら、いつの間にかなくなってしまった。
 小鉢やヒメマスで出汁をとったみそ汁もうますぎて、夢中で食べていたらいつの間にか消えていた。ごちそうさまです。
 流石北海道、飯は外れない。

 飯を食って支笏湖をもう一度ぶらぶらしてから、今日のキャンプ場のある美笛を目指して走り出す。
 美笛へは、支笏湖の上を通るルートと下を通るルートがあるようだ。今回は、グーグルマップに従って上のルートを通ることにした。
 (なお、数時間後にこのルートを選んだことを激しく後悔することになる……)

 支笏湖温泉街を出ると、支笏湖沿いを走る道に出る。
 広大な支笏湖を横目に、テンション爆上がりしながら走る。


 支笏湖沿いの道。こんなのテンション上がるに決まってる。


 支笏湖と愛車。

 海沿いを出ると、その先にはこれまでの道と比べものにならないほどの激しい上りが待ち受けていた。フロントをアウターからインナーに変え、軽いギアでゆっくりと上っていく。
 途中、分岐点を間違えたりして戻りつつ走り、美笛まであと10kmというところで、その事件は起こった。


 なん、だと……!!?

 愕然と通行止めの文字を見つめる。
 支笏湖の上側のルートで美笛に抜けるためには、この道を走らなければならなかった。それが封鎖されているとなると……
 
 ゲートを見ながら立ち止まっていると、車で来ているおじさんに声を掛けられる。
 おじさんにグーグルマップに従ってきたのだと言うと、信じられないといったような顔をされた。おじさん曰く、この道は何年も前から通行止めになっているそうだ。通行可の時代もあったようだけれど、道路が舗装されているのはこの先にあるオコタンぺ湖までで、その先は車でも走行するのが困難な荒れた道が続いているらしい。
 おじさん曰く、マップでそのルートが表示されている自体が不思議だということだった。そりゃ、何年も前から通行止めだもんなあ……

 おじさんは、この先を下って屈斜路湖の下側のルートに入れば美笛に行けると教えてくれた。下側のルートは美笛までしっかり舗装されているらしい。
 要するに来た道を戻らないといけないらしかった。

私「実は、この道上ってきたんですよ(死んだ目」
おじさん「うわ、かわいそう……!お疲れ様です!」

 目から汗とは違う何かが流れてくるのを感じた。

 おじさんと別れ、いままで上ってきた道を一気に下る。
 下りは40kmくらい出ていたので、上ってきた時間の三分の一くらいの時間で下ることが出来た。
 とりあえず、温泉街に戻って美笛キャンプ場に電話する。美笛キャンプ場のチェックイン時間は19時なのだけれど、この調子だとたどり着けるか微妙だった。距離は20kmほどと大したことはないが、なんせ上側のルートの上りのえぐさを考えると下側も相当やばいことが予想される。
 キャンプ場は、ごくたまにチェックイン時間をすぎても事前に連絡すれば入れる場合があるので、それを確認するために電話をすることにしたのだ。
 キャンプ場に電話をすると、今日はいっぱいとのことだった。予想外の言葉に焦り、一人用テントで場所をとらないのだと言うと、悩んだ後に「お客さん次第です」と言われた。とりあえず、来てもらわないとなんとも言えないとのことだった。
 そこで、19時までにたどり着けるか微妙なのだと伝えると、歯切れ悪く「じゃあ、ダメですね」と言われた。

 電話を切って項垂れる。今日は道の駅かバス停で野宿することになりそうだなと思いながら立ち尽くしていると、支笏湖温泉街の警備員のおじさんに声をかけられた。
 どこから来たのかと聞かれたので、埼玉から来たのだと答えると、おじさんは笑った。どうやら、おじさんの妹も埼玉に住んでいるらしい。ちょっと親近感が湧いた。
 しばらく、おじさんと話した。話の流れで、今日使おうと思っていたキャンプ場に行けそうにないことを話すと、近くにモラップキャンプ場があることを教えてくれた。
 そういえば、キャンプ場を調べているときにそんなところがあった気がする。走る距離的に選択肢から外れていたけれど、この状況だしいってみてもいいかもしれない。
 早速、そちらに向かうことにする。ありがとうおじさん。

 モラップキャンプ場は支笏湖温泉街の近くにあり、すぐにたどり着いた。早速、受付に向かう。
 受付にいくと、受付のお姉さんがソロライダーっぽいお兄さんに「今日はいっぱいなんです」と言っているのが見えた。
 もしやと思って聞いていると、同じ言葉を言われる。コロナウイルスの影響で、密を避けるために入場制限をしているのだそうだ。
 受付のお姉さんは、申し訳なさそうに「またきてくださいね」といった。
 
 キャンプ場を出て、どうしようか考える。そういえば、ここから10kmくらい走ったところに旧米軍キャンプ場跡地という場所があったことを思い出す。キャンプ場跡地なので整備されたキャンプ場ではないのだが、その代わりに無料で使える。
 だけれど、結論から言うと、このキャンプ場もどこにあるのかわからず、泣く泣く通過した。
 結局、当初の予定通りに美笛を目指すことにした。

 支笏湖の下側の道の道もアップダウンが激しかった。だが、上側の道よりは全然楽だった。あの坂をもう一度上ると思っていたのもあって、拍子抜けしてしまった。
 ただ、疲労がたまったせいか、走っているときに左膝に違和感が走った。痛くはないが、ペダリングをしているときに軽い違和感を感じる。左膝は、四国一周の際に壊してから不調だったのもあって、また故障しないか不安に思った。
 
 上りが思っていたよりも楽だったのもあって、思っていたよりも早くキャンプ場についた。
 キャンプ場の受付で、入れるかどうかを聞くと、あっさり入れてくれた。電話での煮え切らない対応と全然違かったので拍子抜けした。
 受付を終えると、受付の人から「先ほど電話をしてくれた方ですか?」と聞かれた。どうやら、気づいていたらしい。
 
 受付を終え、キャンプサイトへと向かう。
 今日の美笛キャンプ場には、支笏湖を一望できる支笏湖付近のキャンプサイトと芝生のキャンプサイトがある。特に、支笏湖付近のキャンプサイトは、展望がいいのもあって人気だった。
 私は、支笏湖付近のキャンプサイトにテントを張ることにした。支笏湖付近のキャンプサイトはかなり混んでいたけれど、コンパクトな一人用テントは、こういう時でも場所を選ばずに張れるから助かる。やはり、一人用テントは最強……

 キャンプサイトを張ってから、飯を買いに売店へ。
 
 美笛キャンプ場では、受付をしたセンターハウスという建物に大体の設備がそろっている。センターハウスには、売店、休憩所、コインランドリーやコインシャワー、自動販売機などが兼ね備えられており、キャンプをする上で非常に便利だ。
 特に、この辺りは歩いていける距離に温泉がないので、コインシャワーはありがたかった。

 センターハウス内の売店でカップの肉そばを買う。おなかがすいていたのですぐに食べようと思っていたが、どうやらシャワーの使用時間がせまっているようなので先にそちらへ。
 ちなみに、コインランドリーのほうは使用時間が終わっていたから使えなかった。悲しい。
 
 コインシャワーにお金を入れ、シャワーを出してからふと気づく。
 
 お風呂セットもってきてねえ……(白目

 シャワーの使用時間は限られているし、いまからテントまで取りに行く余裕もない。
 しかたなく、お湯だけ浴びることにした。お湯だけだったけれど、疲れた身体には心地よかった。

 シャワーから出て受付で借りたドライヤーで髪を乾かす。ドライヤーを貸してくれるキャンプ場ってのもなかなか珍しい。

 
 苦難後の晩餐。いつもよりうまい気がする。


 風呂後は、肉そばを食べる。センターハウス内にあるポットをつかってお湯を入れ、3分待つ。
 さて、食べようと思った時にふと気づく。箸もってねえじゃん……(白目
 受付のおにいさんに聞くと、箸は売店で買うものだったそうだった。まじかよ……

 まじかよ……という顔をしていたら、そんな私を見かねたのか、受付のおにいさんは箸を持ってきてくれた。タダでいいよと言いながら箸をくれたおにいさんが神に見えた。本当にありがたい……!

 おにいさんがくれた箸を使って肉そばを食べた。苦難を超えて疲弊した身体に肉そばが染みた。

 飯を食った後は、キャンプ場を散策する。
 4連休中なのもあって、キャンプ場には家族連れが多かった。たまに、ソロライダーや自転車乗りを見かけたけれど、ごく少数だった。
 はしゃぐ子供たちの声を聞きながら、支笏湖を眺める。
 眼前に聳える支笏湖は、曇りにもかかわらず夕焼けで輝いていた。曇りだから残念な結果になるんじゃないかと思っていたけれど、雲がいい仕事をしていてなかなか幻想的な雰囲気だった。
 この光景を残すべく、一眼で写真を撮った。

 
 支笏湖と夕焼け。雲が幻想的な雰囲気を醸し出している。

 夕焼けの支笏湖を眺めながら、いろんなところをたらい回しにされたのは、この景色をみるためだったのかと思った。
 もしそうなら、諦めずに走ってきて良かった。
 そんなことを思いながら、日が暮れるまで支笏湖を眺め続けた。

 やがて、辺りが暗くなってきたので、テントに戻って寝袋に潜り込む。
 寝袋に入って横になると、手足が重く沈み込むような感覚があった。予定より無理をして走ったのもあって、身体が疲労しているようだ。
 ふと、サイコンで走行距離を確認すると、101kmと表示されていた。予定では、60km程度しか走らない予定だったから、かなり走ったことになる。ほぼ上りで101kmならそりゃ疲れるし膝も悪くなるわ。
 
 左膝の不調のことを考えると、急に不安になってくる。
 四国旅で左膝を悪くしてから、日常でも少し不調を感じるようになっていた。それもあって、日ごろから膝をいたわる生活をしてきていた。
 今回の旅も、膝のことを思って走行距離を少な目にしてルートを設定していたはずだった。結局、通行止めで100km以上走ることになったけど……(白目
 
 膝の調子によっては、明日のルートも大幅に変えないといけないかもしれない。
 不安を抱きながらそんなことを考えていたが、やがて、疲労に流されるように眠った。スヤァ……

 二日目に続く