四国旅の続きです。前編はこちらからどうぞ。
宍喰まで至る道にて、愛車と。
気持ちのいい海沿いの道をずっと進んでいたら、今日の拠点となる「道の駅 宍喰温泉」に到着します。
とりあえず、宿と病院の場所を聞くために、観光案内所に行きます。
正直、宿はいくつかめぼしをつけていたのだけれど、ローカルな情報の方が信頼できるので。
まず、病院について聞いてみると、整形外科系の病院が40km先にしかないということがわかりました。
また40km近く片足で走るのか……と思うと、気が遠くなります。流石にそこまで走って帰れるほどの余力はありません。
観光所の人曰く、もしかすると付近にある内科の病院なら見てもらえるだけ見てもらえるかもしれない、とのことでした。
次に、宿について聞いてみると、この付近には沢山あるとのこと。3つくらい宿を教えてもらって、観光所を後にします。
まず、宿に入れるかどうか電話をかけてみます。
すると、いくら電話をかけてもつながらないか、繋がっても満室とのこと。
平日の、しかも晴れの日に宿が満室ってどういうことなんだろう……と思いつつ、最後の一つの宿に電話をかけます。
すると、上品な奥様の声が電話越しから聞こえてきます。
今日は一泊できるかということと、自転車の持ち込みは大丈夫かを聞くと、どちらも大丈夫とのことだったので、そこの宿に予約を取ります。
ふー、危ないところだった。最悪、宿なしになるところでした。
宿の予約を事前にしない旅だと、こういう時に焦ることになります。大体は、今回みたいになんとかなるけど。
今は14時になるくらいの時間で、宿のチェックイン時間が15時。チェックイン時間まであと一時間あったのですが、宿の奥さんにきていいと言われたので宿に向かいます。
宿の場所は、丁度今来た道を10分くらい戻った場所にあります。
流石に、自転車に乗って進むことは無理そうなので、歩いていくことにします。
宿についたので、ドアをノックして「ごめんくださーい」と呼びかけると、奥からひょっこりと奥さんが出てきます。
どうやら、玄関の付近にある大部屋の掃除中だった模様。
「先ほどお電話した、拓夏です。」というと、「あら、こんにちは」と穏やかな笑みと共にに挨拶してくれます。
自転車は玄関に置かせてもらい、案内されるままに二階に上がります。
階段の上り下りは、しんどかったけれど何とか右足を軸にして上る。
なお、部屋は一階も空いていたのだけれど、「一階は男の人が泊まるらしいし、女の子だったらちょっと離れた部屋の方がいいと思う」という奥さんの配慮により、二階になりました。
部屋について荷物を置き、一息つきます。
床に座って、左足を伸ばす。やっぱり、90°から伸ばしきるように動くと膝に激痛が走ります。
マッサージや柔軟運動をしても、やっぱり痛みは引かない。痛みを訴えている膝の外側をなでると、右膝と比べて若干腫れているような気がしました。
とりあえず、途中の薬局で買ってきたバンテリンと膝サポーターで応急処置。
何気に、この旅で一番の出費だったりする。
長くため息をつきながら、床に寝転がって天井を眺める。
撤退か……
膝が悪い今、四国一周は中断するほかありませんでした。今の膝だと、南西にある山岳地帯を超えられるわけがないし、無理して走って変に後遺症がでても困ります。
それに、宍喰を出るとしばらく電車の駅が通っていないので、ここで撤退するのが最良の選択と言えます。
しかし、私は四国最南端の室戸岬に行きたいという気持ちをあきらめきれないでいました。室戸岬は、ここから約60kmくらい先にあります。60kmなら、今の足でもなんとか走れる気がします。
しかし、問題は、宍喰を出てからしばらく駅がなく、室戸岬にたどり着いてもそこから帰れないというところです。「とりあえず、室戸岬まで走る」ということはできず、走るにしても「室戸岬についてから次の駅までの距離を走れるのか」「途中で膝が悪化した場合どうするのか」という課題が残ります。
しばらく悩んでいたのだけれど、宿の奥さんに「荷物を置いたら下に料金払いにおいで」と言われていることを思い出します。
とりあえず、用事を済ませてからまた悩むことにしようと思い、階段を下っておかみさんの待つキッチンへと向かいます。
キッチンにつくと、宿の奥さんはキッチン奥で作業をしているようでした。
声をかけると、手を拭きながら表に出てきました。みたところ、夕食の準備をしていたようです。
料金を払いにきたのだけれど、奥さんとは話が弾んで、長い間いろんな話をしました。
奥さん曰く、昨日までマラソン大会で宿が大忙しだったのだとか。どうやら、宍喰のマラソン大会は、全都道府県中トップの人気を誇るらしく、全国各地から人が訪れるのだとか。
「どこの宿も昨日まで忙しかったのよね」という奥さんの一言を聞いて、全然宿の予約が取れなかった理由を悟りました。そりゃ、どこも予約が取れないわけだわ。
奥さんとは、マラソン大会の話に始まり、大阪にいる娘家族の話、宿自体のはなしなどを始め、様々なことを話しました。
話の流れで「室戸岬まで行きたいのだけれど、膝が心配で行くかどうか迷っている」ということを話すと、奥さんは「室戸岬から大阪駅まで出ているバスがある」ということを教えてくれました。直通で大阪まで行けるし、電車を乗り継ぐよりもよっぽどいいだろうとのことでした。
大阪駅まで行ければ、新幹線で帰ることが出来ます。バスという選択肢が全くなかった私にとっては、まさしく朗報でした。
とりあえず、明日は室戸岬まで行ってから帰ろうと決意します。
奥さんからもらったお茶とお茶請けのセットをもって部屋に戻ります。
とりあえず、あらかた予定も決まって安心したので、お茶とお茶請けで一服することに。
お茶請けは、コンビニなどで売ってるイチゴのパンケーキでした。一口食べると、全身に甘さがしみこんでいきます。うまい……
しばらく、部屋でごろごろして休憩します。
畳に寝そべると、カーテンから射す太陽のあたたかな光が、疲れた体を温めていきます。
ぼんやりと青空をみつめながら、ぼーっとします。
ああ、民宿って最高だ。
民宿特有の、ゆったりとした雰囲気がとても好きだなあと思いました。いままでホテル泊だったけれど、民宿の方が私の肌に合っているような気がします。
しばらくごろごろしてから、宿にある温泉へと向かいます。
ここの宿の温泉は、まじもんの天然温泉です。どんな湯なのかワクワクしながら浴室へと向かいます。
奥さんに温泉の鍵を開けてもらい、中へと入ります。
浴室は決して広くないけれど、逆にそれが良い。
体を洗ってから湯に入ると、全身の筋肉から疲労が解けていく感覚がします。
おお、これは良い……
お湯は、嬉野温泉とかに似たさらさらとした肌触りをしていました。温泉にしては、なかなか珍しいタイプ。
少し熱めのお湯が、運動後の凝り固まった筋肉を心地よくほぐしていきます。心地いい……!
思わず、いつも以上に時間をかけてゆっくりと入ってしまいました。
温泉から上がって服を着てから、ぼんやりと温泉の効能表を見ます(旅先で絶対温泉の効能表を見てしまう癖がある)。
この温泉には、一般的な温泉にある「疲労回復」や「筋肉痛の改善」などの効力に加え「うつの改善」という表記があって驚きました。
うつに効く温泉なんてあるんだなあ……
温泉から部屋に戻ってぬくぬくしていると、部屋の電話が鳴りました。
なんだろうと思って出ると、この宿の旦那さんのようです。どうやら、バスの時刻表をとってきてくれたらしく、渡したいから下に来てくれとのこと。
キッチンにいくと、旦那さんが高速バスの時刻表を渡してくれました。わざわざ、私のために取りに行ってくださったようです。本当にありがたい……
旦那さん曰く、室戸岬から出ているバスの本数が少ないらしく、宍喰から乗っていくのをお勧めされました。膝のことを考えるとバスに間に合うかわからないし、室戸岬まで走らないで素直に帰った方がいいだろうとのこと。
すっかり室戸岬まで走るつもりだった私。しかし、親身になってくれた旦那さんの言葉を聞いて、今回は宍喰で撤退しようと決めました。くやしいけれど、膝が悪化して変な後遺症が残るよりもいいかもしれない。
気持ちでは走りたいけれど、頭ではここで引くのが最善だとわかってしまったなら、そうするしかない。
またこよう。
旦那さんからバスの時刻表を受け取って、ひとまず部屋に戻ることにします。
コンビニで買ってきた晩御飯を食べた後、テレビを見ながらごろごろします。
普段だったら絶対に見ないテレビを眺めながら、「今日で、四国旅が終わるのだなあ」とぼんやりと思います。
ずいぶんと短い旅になってしまった。
そう思いつつ、どこかで「またくればいいや」と思う気持ちもありました。
今回のような長期旅は無理かもしれないけれど、少しずつ四国を一周していけばいい。
そんなことを考えながらテレビをぼーっと見ていると、気づいたら寝る時間になっていました。
別に早寝しなくてもいいのだけれど、ここ数日で身についた生活リズムによって、体はすっかりこの時間に寝るように調整されていて、一気に眠気が襲ってきたので寝ることにします。
布団に潜り込み、目を閉じます。
疲労感が暗闇に溶けていくような感覚とともに、意識はゆっくりと落ちていくのでした。
スヤァ……
ふと、目を覚ます。時計を見ると、朝の6時。
大分早くに起きてしまいました。今日は9時のバスに乗って帰るので、まだまだ時間に余裕があります。
荷物も昨日のうちにまとめてしまったので、やることは特にありません。
とりあえず、朝ごはんを食べて歯を磨いた後、ぼーっとテレビを眺めます。
自転車旅をしていると、朝にバリバリ走るので、こんなにのんびりとした時間を過ごすのは久々です。
そういえば、奥さんにバスの時間伝えてなかったことに気づいたので、下にいくことに。
下に行くと、私の隣の部屋に宿泊しているダイバーのおねいさんが朝ごはんを食べていました。おねいさんがにこやかに挨拶をしてくれたので、私も「おはようございます。」と返します。
厨房のほうに声をかけると、奥さんが暖簾をくぐってカウンターに出てきます。
バスの時刻の件を告げると、電話でバスの予約をしてくださいました。そのうえ、車で送っていってくださることに。本当にありがてえ……!
その後は、ダイバーのおねいさんと奥さんと少し雑談をします。
どちらも気さくでいい方で、つい話が弾んでしまう。
私が四国一周をしようとしていたことを話すと、驚いて「すごいね!」といってくださいました。「結局、一周できずに帰るのですごかないですよ」と苦笑して答えましたが、「挑戦しようとするのがすごいよ!」と言ってくださいました。
私としては、好きなことをただしているだけなのだけれど、こういってもらえるととてもうれしい気持ちになります。
ダイバーのおねいさんや奥さんと話したあとは、また部屋でごろごろ。
それにしても、久々に暇って感じだ。
しばらくごろごろしていると、バスの発着時間に近づいてきたので荷物をまとめて下にいくことに。
奥さんに声をかけると、車の準備をしてくださいます。
車の後部座席に輪行袋に入れた自転車を入れ、助手席に乗り込みます。
いざ、バス停のある「道の駅 宍喰温泉」へ!
宿から道の駅までは、歩いても10分しかかからないので、車だと3分くらいで到着します。
「お昼ご飯買った方がいいよ~」という奥さんの言葉に甘えて、道中にあるコンビニでお昼ご飯を買わせていただいてから、道の駅へと。
ひたすら海沿いの道を走る。今日の天気が快晴だったこともあり、とても景色が綺麗でした。
こりゃ、自転車で走ったらさぞ綺麗だっただろうなあ。
そんなことをしているうちに、道の駅に到着。
バスの乗車券購入までの時間がギリギリだったので、とりあえず車を降りて乗車券を買いに行くことに。
道の駅に隣接しているホテルで予約していたバスの乗車券を購入してから、車に戻り、奥さんと一緒に後部座席に乗っている自転車や荷物を取り出します。
奥さんにお礼を言って別れた後は、しばらく眼前にある海を見つめていました。
バス停から見えた景色。
快晴なのもあって、めちゃくちゃいい景色です。
走れるときは、霧や雨という天気だったのに、帰る日に限ってこんな天気とは。
なかなかうまくいかないもんだなあ、と内心思いながら、目の前の絶景を眺めていました。
四国一周を中断するのは悔しかったけれど、一方で楽しみなこともありました。
今回のるバスは、室戸岬から淡路島を縦断して大阪に抜けるルートを走るのですが、その時に「大鳴門橋」と「明石海峡大橋」を渡ります。
自転車では、「大鳴門橋」や「明石海峡大橋」は走れないため、この橋をバスで渡れることに少しワクワクしていました。何気に初めて渡るんじゃないだろうか。
ぼーっと海を眺めながら待っていたら、バスが到着します。
乗車券を見せてから、運転手さんとバスのトランクに自転車を詰め込みます。
その後、乗車券に書かれている番号の席に座って、バスの発車を待ちます。
お客さんは、私を含めて二人でした。平日だから誰もいないかと思ったけど、思ったよりもいて驚きました。
発車時間になって、バスがゆっくり動き始めます。
さて、お楽しみはこれからだ。
バスは、徳島県内では頻繁に停まっていましたが、鳴門を抜けたあたりからはひたすら高速道路を走り続けます。
大鳴門橋、通過中!
そして、念願の大鳴門橋の上に!
それにしても、大鳴門橋からの景色きれいだ……!
バスは、淡路島に入ってから長いトイレ休憩を挟み、再び走り出します。
車窓から見る淡路島の海は、相変わらず綺麗な碧をしていました。良い……
明石海峡大橋、通過中!
そして、明石海峡大橋も通過!
「大鳴門橋と明石海峡大橋を走る」という夢を何気に叶えられてうれしい。
バスは、淡路島を抜けて本州へ!ただいま本州!
本州に入ると、いままでの自然豊かな風景から一変してコンクリートジャングルへと様変わりしていました。
しばらく走ると、無事に大阪駅に到着。
バスから降りてトランクから自転車を取り出した後は、みどりの窓口に向かいます。
本来は一周を終えてから帰る予定だったので、乗車券は「高松~最寄り駅」で、特急券も「岡山~新横浜」になっていたので、これを変更しにいきます。
知っている人も多いと思いますが、電車の特急券・乗車券は、一度なら手数料なしで乗る区間を変更することが出来ます(二度目以降は手数料かかるらしい)。
みどりの窓口で乗車券を「大阪~最寄り駅」、特急券を「新大阪~新横浜」に変えてもらうと、大体3000円くらい戻ってきました。
バスの乗車券が4000円くらいだったから1000円損したことになるけれど、宍喰駅から高松駅に行く代金の方がもっとかかるので、結果的に予定よりも安上がりで済みました。バスのことを教えてくれた奥さんには感謝だ……!
大阪駅から新大阪駅へと向かい、新幹線の乗車口へと向かいます。
しばらく待つと新幹線がやってきたので、乗り込みます。
座席に座って車窓をぼんやりと眺める。
旅が、終わるんだなあ……
少しのやりきれなさを抱えながら、そんなことを思う。
だけれど、こうも思う。
また来よう。そして、その時こそは走破しよう。
そんな思いを胸に、徐々に動きだす景色を眺める。
流れる景色を見つめながら、「次こそは」という決意を無くさないように、強く手を握り締めた。
おわり
宍喰まで至る道にて、愛車と。
二日目(停滞):徳島市内観光
アラームの音で目を覚ます。時計を見ると、時刻は朝の6時。
布団から起き上がると、少しだけ体に疲労が残っているような感じがしました。足も少しだけ重い。
窓を開けると、空には曇天が広がっていました。
天気予報によると、今日の天気は終日雨とのこと。
いつもなら雨でも走るところですが、今回は日数に余裕があるので停滞することにしていました。
今日は自転車で走るわけではないので、慌てて外に出る必要はありません。
ということで、身体が疲労を訴えるその声に甘んじて、ゴロゴロすることにしました。
朝6時だと飯屋も空いてないしね。
とりあえず、何も食べないのは体に悪いので、補給食を食べる。
もう一睡しようかと思ったけれど、目が冴えてしまっていたので、ホテルのwifiを駆使して、アマプラで「このすば2」をずっと見ていました。
10時くらいに少しおなかがすいてきたので、遅めの朝ごはんを食べに外へ。
徳島駅付近のラーメン屋でおすすめされていた「いのたに」に行くことにします。
いのたにの中華そば!
普通盛りは、小さいどんぶりくらいのサイズでした。思ったより小さかった。
徳島ラーメンは、卵を落とすのが鉄板なのだけれど、今回は肉が食べたかったので肉増しの方向で頼みました。
スープもなかなかイケているのだけれど、この肉が甘辛く煮込まれていて、とてもおいしかったです。
いのたにを出た後は、近場を観光することにしました。
徳島駅付近は、観光地がいろいろとあって観光に困りません。
まず、最初に来たのは「阿波踊り会館」です。
「ラーメン東大」や「いのたに」へ行くときに度々見かけて気になったので行ってみることに。
この「阿波踊り会館」は、阿波踊りについての様々なことを体験できる施設で、阿波踊りを鑑賞できるステージや、阿波踊りミュージアム、眉山ロープウェイなどがあります。
阿波踊りの連ごとの提灯。
提灯の隣には、連ごとの踊りの特色などが記載されていました。
私はここにくるまで、阿波踊りというのは一つの踊り方であると思っていたので、連ごとに踊り方が違うことを初めて知りました。
阿波踊りにもいろいろな種類があるのだなあ。
阿波踊り会館のなかにある自販機で見つけたコーラ。
こういうデザインのパッケージがあるんだなあ。
阿波踊りミュージアムの入り口。
阿波踊りミュージアムというのがあったので、中に入ってみることに。
大人が確か300円だった気がする。安い。
阿波踊りミュージアムの中は、撮影禁止の場所が多かったので写真は撮れませんでした。撮影禁止の場所を知らないでとってたらまずいしね。
阿波踊りミュージアム内では、その名の通り阿波踊りの歴史や、それに関連する絵巻物などの展示が行われていました。
この展示を見てびっくりしたのは、阿波踊りという名前が付いたのが明治以降であるというところです。
江戸時代後期に徳島城下で発祥した「徳島盆踊り」が阿波踊りの前身で、阿波踊りという名前が名付けられたのが明治以降なのだそうです。
さらに、その呼称が定着したのは昭和に入ってからなのだとか。
思ったより、阿波踊りというのは最近の文化なのだということに驚きました(といっても、前身である徳島盆踊りから数えるとすさまじく長い歴史ではあります)。
あとは、阿波踊りに用いられた楽器の展示も面白かったです。
阿波踊りに用いられていた楽器は時代によって様変わりしており、特に、大正時代は和洋折衷の文化もあってヴァイオリンやクラリネットなどの西洋楽器も使われていたのだとか。
阿波踊りって和のイメージがあるので、ヴァイオリンやクラリネットなどが使われているのはなかなか想像できませんが、そういう時代もあったんだなあ。
阿波踊りミュージアムの出口。
のれんのセンスがイケている。
阿波踊りミュージアム、300円にしてはなかなか楽しめた。
地域に根付いた文化系の博物館は、あまり行かないので貴重な体験でした。脳の皺が増えた。
阿波踊り会館を出て、徳島の街を再び探索。
少し小腹がすいたので、小腹を満たせそうな場所を探すことに。
ネットでおすすめを探していると、なかなかよさそうな場所があったのでそこへ向かうことにします。
目的地への道を歩いていると、札所?っぽい場所がいくつかありました。
東宗院。
善福寺。
同じ場所に札所っぽい場所がいくつか密集していました。そういう場所なのかな?
お遍路はいずれやってみたいと思っているので、その時にまた寄ることになりそうです。
札所が密集している場所の近くに、目的地である茶屋がありました。
滝の焼餅の外観。
風情があってなかなか良い。
The 茶屋って感じの外観。これは期待が高まる。
店に入ると、カウンターか奥のテーブルのどちらにするかと聞かれたので、テーブル席を選びます。
すると、カウンターがある今の建物の中庭を挟んだ奥にある建物に案内されました。
建物の間にある中庭は決して広い空間ではなかったのだけれど、錦鯉が放されているそこそこ大きな池と青々とした細い木々がありました。小さい空間だけれど不思議と窮屈な印象はなく、開放的な印象。
中庭を通ると、テーブル席のある建物がすぐありました。
建物の中に入ると、ストーブ特有の落ち着いた温かさが全身を包みます。
温かさに導かれるままに、奥の席に腰かけます。
ああ、よい……
店に流れている穏やかなBGMも相まって、店内には落ち着いた空気が流れていました。
ほっとしていると、店員さんがお茶を持ってきてくれました。
それを一口飲んだ途端、電撃が走ります。
なんだこのお茶……!うめえ……!!
桜餅に似た、丸く上品な味わいが口の中に広がっていきます。
間違いない。このお茶は、今まで人生で飲んできたお茶の中で一番うまい。
お茶のうまさに驚いていると、頼んでいたものがやってきました。
滝の焼餅と抹茶。
まず、抹茶を一口飲むと、抹茶の奥ゆかしい味わいが口の中を満たしていきます。
お茶がおいしい時点で分かっていたけれど、この抹茶おいしい……
次に、滝の焼餅を一口。
外はぱりっと、中は餅の柔らかさとあんこの甘さが広がり、こちらもなかなか良い……
はあ、とため息をつきながら、抹茶をすする。
良い……
気づいたら抹茶も焼餅もなくなっていました。
食べ終わってからも、茶屋の中に流れるのんびりとした空気が心地よくて、しばらくのんびりとしていました。
茶屋を出た後は、徳島城跡地へと向かいます。
徳島城にいくときに徳島駅付近を歩いていたら、そごうの看板が外されていました。
そごうの看板は、見上げるほど大きかったです。これ、おろしてどうするつもりなんだろう……(白目
そんなこんなで、徳島城跡地に到着。
徳島城の鷹の門。
立派な門構えです。
徳島城跡地は、現在は公園として利用されており、自由に出入りすることができます。
ここの敷地内には、徳島城博物館などもあって、徳島城について詳しく知ることができます(なお、金銭的な理由で今回は行きませんでした)。
徳島城跡地の外観。
徳島城はずいぶん昔になくなっており、石垣と敷地だけが残っています。
徳島城の石垣。
つい最近「ざつ旅」を読んだので、石垣の積み方とかが気になってしまいますw
敷地の中には、汽車の駅がありました。
こういうの好きなので、つい中へ入ってしまう。
駅の内側。
外から撮ったやつ。
汽車かっこいいぜ……
汽車を堪能したあとは、徳島城の山城に登ります。
階段で整備されているので上りやすくなっていますが、結構、段数があります。
「昔のお殿様ってこういうのいちいち登らないといけなかったから大変だなあ……」なんて思っていたのだけれど、途中にあった看板に「お殿様は、普段は城のふもとに住んでいました」って書かれていて、なんやねんって思いました(
階段を上っていくときに、昨日から違和感のあった左膝に痛みを感じ始めます。
左膝の痛みをこらえながら、何とかのぼっていきます。
階段を上っていくときに、昨日から違和感のあった左膝に痛みを感じ始めます。
左膝の痛みをこらえながら、何とかのぼっていきます。
山城の頂上には、おもったよりも早く到着しました。
山城からの景色。
写真だと木々が邪魔で良く見えませんが、徳島市内を一望できるようになってます。
昔のお殿様は、ここから街を見ていたんだなあ……
山城からの景色を堪能した後は、左膝をかばいながらなんとか下っていきます。
膝の調子も悪いので、観光を切り上げてホテルに戻ることにします。
しばらく、ホテルでユーチューブとかを見ながらゴロゴロ。
17時くらいになった頃におなかがすいてきたので、ごはんを食べに行くことに。
晩飯は、ちょっと奮発して阿波尾鶏を食べに行きます。
阿波尾鶏は、徳島において徳島ラーメンと同じくらい有名な食べもの。
これを食べずして徳島から出ることはできん!
ということで、前から目をつけていた阿波尾鶏を食べることができる店へと向かいます。
山城からの景色を堪能した後は、左膝をかばいながらなんとか下っていきます。
膝の調子も悪いので、観光を切り上げてホテルに戻ることにします。
しばらく、ホテルでユーチューブとかを見ながらゴロゴロ。
17時くらいになった頃におなかがすいてきたので、ごはんを食べに行くことに。
晩飯は、ちょっと奮発して阿波尾鶏を食べに行きます。
阿波尾鶏は、徳島において徳島ラーメンと同じくらい有名な食べもの。
これを食べずして徳島から出ることはできん!
ということで、前から目をつけていた阿波尾鶏を食べることができる店へと向かいます。
阿波尾鶏の雛。
今回は、雛セットというものを頼みました。
親鶏セットもあったのですが、フォロワーさんに雛のほうが親よりもやわらかくておいしいという話を聞いたので雛にしました。
これ以外にも、おぼろご飯やスープなどもついていたのですが、食べるのに夢中になってしまって写真撮るのを忘れてた(
雛肉は、やわらかくてジューシーでした。でも、ジューシーだけどしつこくなく、ふっくらとした食感と鶏特有の癖のなさを両立したような味わいでした。
ここの店では、ハサミで肉を切り分けて食べるのだけれど、切り分けるたびに肉の間から肉汁がこぼれて、それが食欲をさらにそそる……!
気が付けば、骨だけになっていました。うますぎて、夢中で食べてしまっていた……
料理は結構なボリュームで、値段以上の満足感を味わうことが出来ました。
満腹感に満足しながらホテルに戻ったあとは、明日の準備をすることに。
いつも通り、風呂に入ったり洗濯したりしていると、知人からLINEが来ていることに気づきます。
知人から送られてきたのは、ウェザーニュースの記事でした。内容を見てみると、九州および中四国地方は、明日雪になるという記事でした。
え、雪……?
ところにより、10cm以上の積雪になるでしょう、という記事を見て、自分でも顔が青くなっていくのを感じます。
MTBやグラベルロードだったら多少の雪なら走れると思いますが、私が乗っているのはロードバイクです。さすがに、25Cのタイヤでは雪道を進めません。
昨日、天気予報を見たときは晴れの予報だったはず……と思って、あわてて天気予報を確認すると、どうやら高知と愛媛の方が積雪とのこと。
明日走る場所は問題ないと知り、ひとまず安心。ただし、私が高知・愛媛につくまでに雪が解けていなかったら、どちらにせよ撤退を考えないといけない事態です。
どうしようか、と思ったけれど、思ったよりも私の頭は柔軟で「もし、無理そうだったら小豆島と男木島めぐりにしよう」とプランBをあっさりと決めます。
あらゆるトラブルを想定して準備はしてきたけれど、雪はもうどうしようもない。
安全安心を第一に旅をしているので、無理なときは無理をせずルートを変えるのも必要だと思っています。今回撤退しても、また来ればいい。
こういうときに、我ながら旅慣れてきたなあと感じます。
ゆるく予定を決めた後は、明日の準備や痛くなった足の柔軟をしたりしながら時間を過ごします。特に、左膝の柔軟は念入りに行う。
ユーチューブをみたりアマプラでアニメを見ていたら、すっかり寝る時間に。
布団に深く潜り込んで、目を閉じます。
明日は、どんな景色を見ることが出来るんだろう……?
先に続く地に思いを馳せながら、眠りについていきます。
スヤァ……
アラームの音で目を覚ます。時刻は、朝の5時半。
伸びをして、一息に起き上がる。立ち上がって、左膝の調子を確かめると痛みは引いていました。これなら走れそうだと一安心します。
ホテルを出ると、辺りは暗闇に包まれていました。
街灯の下で輪行解除をし、走り出す。とりあえず、朝飯を食べに行かなければならない。
近くにコンビニがあったので、そこでご飯を食べます。イートインがついているコンビニは、こういう時に便利で助かります。
飯を食べた後は、いざ宍喰へ!
宍喰までいく道は、道路も歩道も広かったです。
まだ日の出前なので、歩道のほうにはいってゆっくり進んでいきます。
夜明け。
燃える朝日が、東の空の雲間からひょっこり顔を出していました。
朝日を眺めながら、少しずつ明るさを増していく世界を走る。
めちゃくちゃ神々しい光が空から降ってきていたのでパシャリ。
なんか神とかが降りてきそう。
市街地を通り過ぎると、畑地の広がる道を走ります。
光のシャワー。
川と一緒に。
走っても走っても、目の前はこんな光景。面白くなって何度も写真を撮ってしまう。
冬だから畑地には何も栽培されてない。
畑地に入ったくらいのところで、いままで引いていた左膝の痛みが再発してきます。
うげ、まじかよ。と思いながらも、痛みがひどくなったら走行に支障が出てしまうので、一旦止まります。
薬入れの中に入っているロキソニンを取り出し、補給食と一緒に喉に流し込みます。
そのあとに、膝のマッサージをして痛みをやわらげようと努力します。
これで痛みが引いてくれるといいのだけれど……
そう願いながら、また再びペダルを踏む。
とりあえず、膝が痛くても目的地まで進むしかない。
畑地を横目に走っていると、眼前に山の緑が見えてきます。
今日走るルートには、南東の山岳地帯ほどではないものの、若干アップダウンも含まれています。
その第一関門が迫ってきたようです。
頼むぜ、R-sys……!
そう思いながら、山道へ向かう道に突き進んでいきます。
こんな感じの山道を進んでいく。
上りに入っても、特に速度が落ちることなく、するすると進んでいきます。
勾配はそんなにないけれど、ママチャリだとしんどいだろうなと思える坂が緩やかに続いています。
これくらいの傾斜だと、今までのホイールでは絶対に速度を落としていました。
しかし、今は平地と変わらない速度で走っています。すげえや、R-sys……!
ホイールを買い替える前までは、ホイールを変えても走行にそこまで顕著な差はないんじゃないかと思っていました。というのも、自転車というものは、どこまでも乗っている人間に依存するものだと考えていたからです。
しかし、ホイールを変えてみて思ったのは、ホイール一つで乗り心地や速度、疲労感に天と地ほどの差があるということです。そして、その恩恵は、長距離を走れば走るほど顕著になっていく……
まさに、いまそれを体感しているところでした。
今まで上りの時に感じていた重さは一切なく、面白いくらいにするするとペダルが回っていきます。速度は、落ちるどころか平地よりも増しているくらい。
坂を上っている感覚が一切なく、その乗り心地を一言でいうとこうだ。
翼が生え、空を飛んでいるような感覚。
冗談じゃなく、上りでの乗り心地はこんな感じでした。
面白いくらいにペダルが回り、いつもみたいにバテて足をつけることもなく、ひたすらに登っていきます。
人生で初めて上りが楽しいと思えた瞬間でした。
途中で、お遍路の旅の人と何人かすれ違いました。その中には、自転車遍路の方もいて、心のなかで「がんばれ……!」と思いながら上っていきます。
山道進むよどこまでも。
このあたりはずっと山だったのだけれど、お遍路用の休憩所や自動販売機が点在しているなど、旅人に対する手厚い配慮が伺えました。
やはり、古くからお遍路さんを受け入れてきただけあり、こういうところが他のところとは全然違うなと思いました。旅のしやすさが半端じゃない。北海道とかは、40km何もない山道とか普通に存在するし、沖縄も北東の方は自販機全然ないし……
山道を調子に乗って飛ばしていたら……
ビキッ
左ひざに、いつも以上の痛みが走りました。
思わず立ち止まり、膝の様子を見ます。
足を延ばしたり曲げたりすると、膝を90°に曲げた状態から伸ばすと痛みが走ることに気づきました。自転車でペダルをこぐ時と全く同じ動きです。
しばらく、マッサージをしつづけましたが痛みは引きません。途方にくれながらも、とりあえず目的地に向かって走るしかありません。目的地の宍喰なら、もしかしたら病院があるかもしれない。
痛む膝を引きずりながら、ほぼ右足のみを使ってなんとか走る。目的地の宍喰までは、あと40km近くありますが、とにかく走るしかない。
しばらく山道を走っていると、「道の駅 日和佐」が見えてきたので、一旦休憩にします。
道の駅を歩いていると……
こんな感じの足湯を発見。
これは入るしかない……!
と思い、注意書きに沿って足を洗ってから入ります。
足湯入浴中の図。
はー、良い!
湯加減は、熱くもなくぬるくもないちょうどいい感じのぬくさ。
ほどよく足を温めてくれます。
ついでに、膝もマッサージをします。
足湯から上がった後は、道の駅の中を少し探索したらすぐに出発しました。
いざ、宍喰へ。
「道の駅 日和佐」を出た後も、しばらく山道を走ります。
山道の途中で薬局を見つけたので、膝サポーターとバンテリンを買います。宿に戻ってからつけよう……
川がきれい。
高松を走っていた時も思ったけれど、川の水が底がくっきり見えるまで澄んでいて、めっちゃ綺麗でした。
山道をずっと上ったり下ったりしていると……
海だーーー!!!
山道を上っているときに、緑の間からひょっこり海が顔を出していました。
山道を走っているときに海が見えるシチュエーション大好きオタクなので、この時点でめちゃくちゃテンションが上がります。
山道を抜けると、海沿いの道に出ます。
海の青と果てしなく続く水平線を眺めながら走っていきます。
この時点で、膝の痛みが限界に来ていたのだけれど、そんなことがどうでもよくなるほど景色がよかったです。
今回は、雛セットというものを頼みました。
親鶏セットもあったのですが、フォロワーさんに雛のほうが親よりもやわらかくておいしいという話を聞いたので雛にしました。
これ以外にも、おぼろご飯やスープなどもついていたのですが、食べるのに夢中になってしまって写真撮るのを忘れてた(
雛肉は、やわらかくてジューシーでした。でも、ジューシーだけどしつこくなく、ふっくらとした食感と鶏特有の癖のなさを両立したような味わいでした。
ここの店では、ハサミで肉を切り分けて食べるのだけれど、切り分けるたびに肉の間から肉汁がこぼれて、それが食欲をさらにそそる……!
気が付けば、骨だけになっていました。うますぎて、夢中で食べてしまっていた……
料理は結構なボリュームで、値段以上の満足感を味わうことが出来ました。
満腹感に満足しながらホテルに戻ったあとは、明日の準備をすることに。
いつも通り、風呂に入ったり洗濯したりしていると、知人からLINEが来ていることに気づきます。
知人から送られてきたのは、ウェザーニュースの記事でした。内容を見てみると、九州および中四国地方は、明日雪になるという記事でした。
え、雪……?
ところにより、10cm以上の積雪になるでしょう、という記事を見て、自分でも顔が青くなっていくのを感じます。
MTBやグラベルロードだったら多少の雪なら走れると思いますが、私が乗っているのはロードバイクです。さすがに、25Cのタイヤでは雪道を進めません。
昨日、天気予報を見たときは晴れの予報だったはず……と思って、あわてて天気予報を確認すると、どうやら高知と愛媛の方が積雪とのこと。
明日走る場所は問題ないと知り、ひとまず安心。ただし、私が高知・愛媛につくまでに雪が解けていなかったら、どちらにせよ撤退を考えないといけない事態です。
どうしようか、と思ったけれど、思ったよりも私の頭は柔軟で「もし、無理そうだったら小豆島と男木島めぐりにしよう」とプランBをあっさりと決めます。
あらゆるトラブルを想定して準備はしてきたけれど、雪はもうどうしようもない。
安全安心を第一に旅をしているので、無理なときは無理をせずルートを変えるのも必要だと思っています。今回撤退しても、また来ればいい。
こういうときに、我ながら旅慣れてきたなあと感じます。
ゆるく予定を決めた後は、明日の準備や痛くなった足の柔軟をしたりしながら時間を過ごします。特に、左膝の柔軟は念入りに行う。
ユーチューブをみたりアマプラでアニメを見ていたら、すっかり寝る時間に。
布団に深く潜り込んで、目を閉じます。
明日は、どんな景色を見ることが出来るんだろう……?
先に続く地に思いを馳せながら、眠りについていきます。
スヤァ……
三日目:徳島~宍喰
アラームの音で目を覚ます。時刻は、朝の5時半。
伸びをして、一息に起き上がる。立ち上がって、左膝の調子を確かめると痛みは引いていました。これなら走れそうだと一安心します。
ホテルを出ると、辺りは暗闇に包まれていました。
街灯の下で輪行解除をし、走り出す。とりあえず、朝飯を食べに行かなければならない。
近くにコンビニがあったので、そこでご飯を食べます。イートインがついているコンビニは、こういう時に便利で助かります。
飯を食べた後は、いざ宍喰へ!
宍喰までいく道は、道路も歩道も広かったです。
まだ日の出前なので、歩道のほうにはいってゆっくり進んでいきます。
夜明け。
燃える朝日が、東の空の雲間からひょっこり顔を出していました。
朝日を眺めながら、少しずつ明るさを増していく世界を走る。
めちゃくちゃ神々しい光が空から降ってきていたのでパシャリ。
なんか神とかが降りてきそう。
市街地を通り過ぎると、畑地の広がる道を走ります。
光のシャワー。
川と一緒に。
走っても走っても、目の前はこんな光景。面白くなって何度も写真を撮ってしまう。
冬だから畑地には何も栽培されてない。
畑地に入ったくらいのところで、いままで引いていた左膝の痛みが再発してきます。
うげ、まじかよ。と思いながらも、痛みがひどくなったら走行に支障が出てしまうので、一旦止まります。
薬入れの中に入っているロキソニンを取り出し、補給食と一緒に喉に流し込みます。
そのあとに、膝のマッサージをして痛みをやわらげようと努力します。
これで痛みが引いてくれるといいのだけれど……
そう願いながら、また再びペダルを踏む。
とりあえず、膝が痛くても目的地まで進むしかない。
畑地を横目に走っていると、眼前に山の緑が見えてきます。
今日走るルートには、南東の山岳地帯ほどではないものの、若干アップダウンも含まれています。
その第一関門が迫ってきたようです。
頼むぜ、R-sys……!
そう思いながら、山道へ向かう道に突き進んでいきます。
こんな感じの山道を進んでいく。
上りに入っても、特に速度が落ちることなく、するすると進んでいきます。
勾配はそんなにないけれど、ママチャリだとしんどいだろうなと思える坂が緩やかに続いています。
これくらいの傾斜だと、今までのホイールでは絶対に速度を落としていました。
しかし、今は平地と変わらない速度で走っています。すげえや、R-sys……!
ホイールを買い替える前までは、ホイールを変えても走行にそこまで顕著な差はないんじゃないかと思っていました。というのも、自転車というものは、どこまでも乗っている人間に依存するものだと考えていたからです。
しかし、ホイールを変えてみて思ったのは、ホイール一つで乗り心地や速度、疲労感に天と地ほどの差があるということです。そして、その恩恵は、長距離を走れば走るほど顕著になっていく……
まさに、いまそれを体感しているところでした。
今まで上りの時に感じていた重さは一切なく、面白いくらいにするするとペダルが回っていきます。速度は、落ちるどころか平地よりも増しているくらい。
坂を上っている感覚が一切なく、その乗り心地を一言でいうとこうだ。
翼が生え、空を飛んでいるような感覚。
冗談じゃなく、上りでの乗り心地はこんな感じでした。
面白いくらいにペダルが回り、いつもみたいにバテて足をつけることもなく、ひたすらに登っていきます。
人生で初めて上りが楽しいと思えた瞬間でした。
途中で、お遍路の旅の人と何人かすれ違いました。その中には、自転車遍路の方もいて、心のなかで「がんばれ……!」と思いながら上っていきます。
山道進むよどこまでも。
このあたりはずっと山だったのだけれど、お遍路用の休憩所や自動販売機が点在しているなど、旅人に対する手厚い配慮が伺えました。
やはり、古くからお遍路さんを受け入れてきただけあり、こういうところが他のところとは全然違うなと思いました。旅のしやすさが半端じゃない。
山道を調子に乗って飛ばしていたら……
ビキッ
左ひざに、いつも以上の痛みが走りました。
思わず立ち止まり、膝の様子を見ます。
足を延ばしたり曲げたりすると、膝を90°に曲げた状態から伸ばすと痛みが走ることに気づきました。自転車でペダルをこぐ時と全く同じ動きです。
しばらく、マッサージをしつづけましたが痛みは引きません。途方にくれながらも、とりあえず目的地に向かって走るしかありません。目的地の宍喰なら、もしかしたら病院があるかもしれない。
痛む膝を引きずりながら、ほぼ右足のみを使ってなんとか走る。目的地の宍喰までは、あと40km近くありますが、とにかく走るしかない。
しばらく山道を走っていると、「道の駅 日和佐」が見えてきたので、一旦休憩にします。
道の駅を歩いていると……
こんな感じの足湯を発見。
これは入るしかない……!
と思い、注意書きに沿って足を洗ってから入ります。
足湯入浴中の図。
はー、良い!
湯加減は、熱くもなくぬるくもないちょうどいい感じのぬくさ。
ほどよく足を温めてくれます。
ついでに、膝もマッサージをします。
足湯から上がった後は、道の駅の中を少し探索したらすぐに出発しました。
いざ、宍喰へ。
「道の駅 日和佐」を出た後も、しばらく山道を走ります。
山道の途中で薬局を見つけたので、膝サポーターとバンテリンを買います。宿に戻ってからつけよう……
川がきれい。
高松を走っていた時も思ったけれど、川の水が底がくっきり見えるまで澄んでいて、めっちゃ綺麗でした。
山道をずっと上ったり下ったりしていると……
海だーーー!!!
山道を上っているときに、緑の間からひょっこり海が顔を出していました。
山道を走っているときに海が見えるシチュエーション大好きオタクなので、この時点でめちゃくちゃテンションが上がります。
山道を抜けると、海沿いの道に出ます。
海の青と果てしなく続く水平線を眺めながら走っていきます。
この時点で、膝の痛みが限界に来ていたのだけれど、そんなことがどうでもよくなるほど景色がよかったです。
海に浮かぶ島。
しばらく走っていると、奥の方に島みたいなのが見えてきました。
こういう島感のある景色が大好物なので、テンションがさらに上がる……!
愛車と共に。
海沿いにも、愛車撮影スポットがあってうれしい。
海沿いをテンション振り切れながら走っていると、こんな景色に出会います。
しばらく走っていると、奥の方に島みたいなのが見えてきました。
こういう島感のある景色が大好物なので、テンションがさらに上がる……!
愛車と共に。
海沿いにも、愛車撮影スポットがあってうれしい。
海沿いをテンション振り切れながら走っていると、こんな景色に出会います。
ふおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!やべええええええええええええ!!!!!!
なんだ、この海の透明感は……!!!
景色もやばいけれど、この海の透明感もやばい。
ここは本当に地球なのだろうか……?
思わず、そう思ってしまいます。
テンション上がりすぎて、膝の痛みなんてそっちのけでペダルを回す。
景色もやばいけれど、この海の透明感もやばい。
ここは本当に地球なのだろうか……?
思わず、そう思ってしまいます。
テンション上がりすぎて、膝の痛みなんてそっちのけでペダルを回す。
気持ちのいい海沿いの道をずっと進んでいたら、今日の拠点となる「道の駅 宍喰温泉」に到着します。
とりあえず、宿と病院の場所を聞くために、観光案内所に行きます。
正直、宿はいくつかめぼしをつけていたのだけれど、ローカルな情報の方が信頼できるので。
まず、病院について聞いてみると、整形外科系の病院が40km先にしかないということがわかりました。
また40km近く片足で走るのか……と思うと、気が遠くなります。流石にそこまで走って帰れるほどの余力はありません。
観光所の人曰く、もしかすると付近にある内科の病院なら見てもらえるだけ見てもらえるかもしれない、とのことでした。
次に、宿について聞いてみると、この付近には沢山あるとのこと。3つくらい宿を教えてもらって、観光所を後にします。
まず、宿に入れるかどうか電話をかけてみます。
すると、いくら電話をかけてもつながらないか、繋がっても満室とのこと。
平日の、しかも晴れの日に宿が満室ってどういうことなんだろう……と思いつつ、最後の一つの宿に電話をかけます。
すると、上品な奥様の声が電話越しから聞こえてきます。
今日は一泊できるかということと、自転車の持ち込みは大丈夫かを聞くと、どちらも大丈夫とのことだったので、そこの宿に予約を取ります。
ふー、危ないところだった。最悪、宿なしになるところでした。
宿の予約を事前にしない旅だと、こういう時に焦ることになります。大体は、今回みたいになんとかなるけど。
今は14時になるくらいの時間で、宿のチェックイン時間が15時。チェックイン時間まであと一時間あったのですが、宿の奥さんにきていいと言われたので宿に向かいます。
宿の場所は、丁度今来た道を10分くらい戻った場所にあります。
流石に、自転車に乗って進むことは無理そうなので、歩いていくことにします。
宿についたので、ドアをノックして「ごめんくださーい」と呼びかけると、奥からひょっこりと奥さんが出てきます。
どうやら、玄関の付近にある大部屋の掃除中だった模様。
「先ほどお電話した、拓夏です。」というと、「あら、こんにちは」と穏やかな笑みと共にに挨拶してくれます。
自転車は玄関に置かせてもらい、案内されるままに二階に上がります。
階段の上り下りは、しんどかったけれど何とか右足を軸にして上る。
なお、部屋は一階も空いていたのだけれど、「一階は男の人が泊まるらしいし、女の子だったらちょっと離れた部屋の方がいいと思う」という奥さんの配慮により、二階になりました。
部屋について荷物を置き、一息つきます。
床に座って、左足を伸ばす。やっぱり、90°から伸ばしきるように動くと膝に激痛が走ります。
マッサージや柔軟運動をしても、やっぱり痛みは引かない。痛みを訴えている膝の外側をなでると、右膝と比べて若干腫れているような気がしました。
とりあえず、途中の薬局で買ってきたバンテリンと膝サポーターで応急処置。
何気に、この旅で一番の出費だったりする。
長くため息をつきながら、床に寝転がって天井を眺める。
撤退か……
膝が悪い今、四国一周は中断するほかありませんでした。今の膝だと、南西にある山岳地帯を超えられるわけがないし、無理して走って変に後遺症がでても困ります。
それに、宍喰を出るとしばらく電車の駅が通っていないので、ここで撤退するのが最良の選択と言えます。
しかし、私は四国最南端の室戸岬に行きたいという気持ちをあきらめきれないでいました。室戸岬は、ここから約60kmくらい先にあります。60kmなら、今の足でもなんとか走れる気がします。
しかし、問題は、宍喰を出てからしばらく駅がなく、室戸岬にたどり着いてもそこから帰れないというところです。「とりあえず、室戸岬まで走る」ということはできず、走るにしても「室戸岬についてから次の駅までの距離を走れるのか」「途中で膝が悪化した場合どうするのか」という課題が残ります。
しばらく悩んでいたのだけれど、宿の奥さんに「荷物を置いたら下に料金払いにおいで」と言われていることを思い出します。
とりあえず、用事を済ませてからまた悩むことにしようと思い、階段を下っておかみさんの待つキッチンへと向かいます。
キッチンにつくと、宿の奥さんはキッチン奥で作業をしているようでした。
声をかけると、手を拭きながら表に出てきました。みたところ、夕食の準備をしていたようです。
料金を払いにきたのだけれど、奥さんとは話が弾んで、長い間いろんな話をしました。
奥さん曰く、昨日までマラソン大会で宿が大忙しだったのだとか。どうやら、宍喰のマラソン大会は、全都道府県中トップの人気を誇るらしく、全国各地から人が訪れるのだとか。
「どこの宿も昨日まで忙しかったのよね」という奥さんの一言を聞いて、全然宿の予約が取れなかった理由を悟りました。そりゃ、どこも予約が取れないわけだわ。
奥さんとは、マラソン大会の話に始まり、大阪にいる娘家族の話、宿自体のはなしなどを始め、様々なことを話しました。
話の流れで「室戸岬まで行きたいのだけれど、膝が心配で行くかどうか迷っている」ということを話すと、奥さんは「室戸岬から大阪駅まで出ているバスがある」ということを教えてくれました。直通で大阪まで行けるし、電車を乗り継ぐよりもよっぽどいいだろうとのことでした。
大阪駅まで行ければ、新幹線で帰ることが出来ます。バスという選択肢が全くなかった私にとっては、まさしく朗報でした。
とりあえず、明日は室戸岬まで行ってから帰ろうと決意します。
奥さんからもらったお茶とお茶請けのセットをもって部屋に戻ります。
とりあえず、あらかた予定も決まって安心したので、お茶とお茶請けで一服することに。
お茶請けは、コンビニなどで売ってるイチゴのパンケーキでした。一口食べると、全身に甘さがしみこんでいきます。うまい……
しばらく、部屋でごろごろして休憩します。
畳に寝そべると、カーテンから射す太陽のあたたかな光が、疲れた体を温めていきます。
ぼんやりと青空をみつめながら、ぼーっとします。
ああ、民宿って最高だ。
民宿特有の、ゆったりとした雰囲気がとても好きだなあと思いました。いままでホテル泊だったけれど、民宿の方が私の肌に合っているような気がします。
しばらくごろごろしてから、宿にある温泉へと向かいます。
ここの宿の温泉は、まじもんの天然温泉です。どんな湯なのかワクワクしながら浴室へと向かいます。
奥さんに温泉の鍵を開けてもらい、中へと入ります。
浴室は決して広くないけれど、逆にそれが良い。
体を洗ってから湯に入ると、全身の筋肉から疲労が解けていく感覚がします。
おお、これは良い……
お湯は、嬉野温泉とかに似たさらさらとした肌触りをしていました。温泉にしては、なかなか珍しいタイプ。
少し熱めのお湯が、運動後の凝り固まった筋肉を心地よくほぐしていきます。心地いい……!
思わず、いつも以上に時間をかけてゆっくりと入ってしまいました。
温泉から上がって服を着てから、ぼんやりと温泉の効能表を見ます(旅先で絶対温泉の効能表を見てしまう癖がある)。
この温泉には、一般的な温泉にある「疲労回復」や「筋肉痛の改善」などの効力に加え「うつの改善」という表記があって驚きました。
うつに効く温泉なんてあるんだなあ……
温泉から部屋に戻ってぬくぬくしていると、部屋の電話が鳴りました。
なんだろうと思って出ると、この宿の旦那さんのようです。どうやら、バスの時刻表をとってきてくれたらしく、渡したいから下に来てくれとのこと。
キッチンにいくと、旦那さんが高速バスの時刻表を渡してくれました。わざわざ、私のために取りに行ってくださったようです。本当にありがたい……
旦那さん曰く、室戸岬から出ているバスの本数が少ないらしく、宍喰から乗っていくのをお勧めされました。膝のことを考えるとバスに間に合うかわからないし、室戸岬まで走らないで素直に帰った方がいいだろうとのこと。
すっかり室戸岬まで走るつもりだった私。しかし、親身になってくれた旦那さんの言葉を聞いて、今回は宍喰で撤退しようと決めました。くやしいけれど、膝が悪化して変な後遺症が残るよりもいいかもしれない。
気持ちでは走りたいけれど、頭ではここで引くのが最善だとわかってしまったなら、そうするしかない。
またこよう。
旦那さんからバスの時刻表を受け取って、ひとまず部屋に戻ることにします。
コンビニで買ってきた晩御飯を食べた後、テレビを見ながらごろごろします。
普段だったら絶対に見ないテレビを眺めながら、「今日で、四国旅が終わるのだなあ」とぼんやりと思います。
ずいぶんと短い旅になってしまった。
そう思いつつ、どこかで「またくればいいや」と思う気持ちもありました。
今回のような長期旅は無理かもしれないけれど、少しずつ四国を一周していけばいい。
そんなことを考えながらテレビをぼーっと見ていると、気づいたら寝る時間になっていました。
別に早寝しなくてもいいのだけれど、ここ数日で身についた生活リズムによって、体はすっかりこの時間に寝るように調整されていて、一気に眠気が襲ってきたので寝ることにします。
布団に潜り込み、目を閉じます。
疲労感が暗闇に溶けていくような感覚とともに、意識はゆっくりと落ちていくのでした。
スヤァ……
最終日:さらば四国。また来る日まで。
ふと、目を覚ます。時計を見ると、朝の6時。
大分早くに起きてしまいました。今日は9時のバスに乗って帰るので、まだまだ時間に余裕があります。
荷物も昨日のうちにまとめてしまったので、やることは特にありません。
とりあえず、朝ごはんを食べて歯を磨いた後、ぼーっとテレビを眺めます。
自転車旅をしていると、朝にバリバリ走るので、こんなにのんびりとした時間を過ごすのは久々です。
そういえば、奥さんにバスの時間伝えてなかったことに気づいたので、下にいくことに。
下に行くと、私の隣の部屋に宿泊しているダイバーのおねいさんが朝ごはんを食べていました。おねいさんがにこやかに挨拶をしてくれたので、私も「おはようございます。」と返します。
厨房のほうに声をかけると、奥さんが暖簾をくぐってカウンターに出てきます。
バスの時刻の件を告げると、電話でバスの予約をしてくださいました。そのうえ、車で送っていってくださることに。本当にありがてえ……!
その後は、ダイバーのおねいさんと奥さんと少し雑談をします。
どちらも気さくでいい方で、つい話が弾んでしまう。
私が四国一周をしようとしていたことを話すと、驚いて「すごいね!」といってくださいました。「結局、一周できずに帰るのですごかないですよ」と苦笑して答えましたが、「挑戦しようとするのがすごいよ!」と言ってくださいました。
私としては、好きなことをただしているだけなのだけれど、こういってもらえるととてもうれしい気持ちになります。
ダイバーのおねいさんや奥さんと話したあとは、また部屋でごろごろ。
それにしても、久々に暇って感じだ。
しばらくごろごろしていると、バスの発着時間に近づいてきたので荷物をまとめて下にいくことに。
奥さんに声をかけると、車の準備をしてくださいます。
車の後部座席に輪行袋に入れた自転車を入れ、助手席に乗り込みます。
いざ、バス停のある「道の駅 宍喰温泉」へ!
宿から道の駅までは、歩いても10分しかかからないので、車だと3分くらいで到着します。
「お昼ご飯買った方がいいよ~」という奥さんの言葉に甘えて、道中にあるコンビニでお昼ご飯を買わせていただいてから、道の駅へと。
ひたすら海沿いの道を走る。今日の天気が快晴だったこともあり、とても景色が綺麗でした。
こりゃ、自転車で走ったらさぞ綺麗だっただろうなあ。
そんなことをしているうちに、道の駅に到着。
バスの乗車券購入までの時間がギリギリだったので、とりあえず車を降りて乗車券を買いに行くことに。
道の駅に隣接しているホテルで予約していたバスの乗車券を購入してから、車に戻り、奥さんと一緒に後部座席に乗っている自転車や荷物を取り出します。
奥さんにお礼を言って別れた後は、しばらく眼前にある海を見つめていました。
バス停から見えた景色。
快晴なのもあって、めちゃくちゃいい景色です。
走れるときは、霧や雨という天気だったのに、帰る日に限ってこんな天気とは。
なかなかうまくいかないもんだなあ、と内心思いながら、目の前の絶景を眺めていました。
四国一周を中断するのは悔しかったけれど、一方で楽しみなこともありました。
今回のるバスは、室戸岬から淡路島を縦断して大阪に抜けるルートを走るのですが、その時に「大鳴門橋」と「明石海峡大橋」を渡ります。
自転車では、「大鳴門橋」や「明石海峡大橋」は走れないため、この橋をバスで渡れることに少しワクワクしていました。何気に初めて渡るんじゃないだろうか。
ぼーっと海を眺めながら待っていたら、バスが到着します。
乗車券を見せてから、運転手さんとバスのトランクに自転車を詰め込みます。
その後、乗車券に書かれている番号の席に座って、バスの発車を待ちます。
お客さんは、私を含めて二人でした。平日だから誰もいないかと思ったけど、思ったよりもいて驚きました。
発車時間になって、バスがゆっくり動き始めます。
さて、お楽しみはこれからだ。
バスは、徳島県内では頻繁に停まっていましたが、鳴門を抜けたあたりからはひたすら高速道路を走り続けます。
大鳴門橋、通過中!
そして、念願の大鳴門橋の上に!
それにしても、大鳴門橋からの景色きれいだ……!
バスは、淡路島に入ってから長いトイレ休憩を挟み、再び走り出します。
車窓から見る淡路島の海は、相変わらず綺麗な碧をしていました。良い……
明石海峡大橋、通過中!
そして、明石海峡大橋も通過!
「大鳴門橋と明石海峡大橋を走る」という夢を何気に叶えられてうれしい。
バスは、淡路島を抜けて本州へ!ただいま本州!
本州に入ると、いままでの自然豊かな風景から一変してコンクリートジャングルへと様変わりしていました。
しばらく走ると、無事に大阪駅に到着。
バスから降りてトランクから自転車を取り出した後は、みどりの窓口に向かいます。
本来は一周を終えてから帰る予定だったので、乗車券は「高松~最寄り駅」で、特急券も「岡山~新横浜」になっていたので、これを変更しにいきます。
知っている人も多いと思いますが、電車の特急券・乗車券は、一度なら手数料なしで乗る区間を変更することが出来ます(二度目以降は手数料かかるらしい)。
みどりの窓口で乗車券を「大阪~最寄り駅」、特急券を「新大阪~新横浜」に変えてもらうと、大体3000円くらい戻ってきました。
バスの乗車券が4000円くらいだったから1000円損したことになるけれど、宍喰駅から高松駅に行く代金の方がもっとかかるので、結果的に予定よりも安上がりで済みました。バスのことを教えてくれた奥さんには感謝だ……!
大阪駅から新大阪駅へと向かい、新幹線の乗車口へと向かいます。
しばらく待つと新幹線がやってきたので、乗り込みます。
座席に座って車窓をぼんやりと眺める。
旅が、終わるんだなあ……
少しのやりきれなさを抱えながら、そんなことを思う。
だけれど、こうも思う。
また来よう。そして、その時こそは走破しよう。
そんな思いを胸に、徐々に動きだす景色を眺める。
流れる景色を見つめながら、「次こそは」という決意を無くさないように、強く手を握り締めた。
おわり
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