しきさんといく!富士山富士五湖一周旅!(後編)

2019年9月22日

富士山富士五湖一周旅の続きです。前編はこちらからどうぞ。
※この記事は、2018年7月14~15日に行った、富士山富士五湖一周旅の記事です。

愛車と富士山。

二日目:富士山に魅せられて

 携帯のアラームで目を覚ます。時刻は、朝の4時。
 時間通り起きることができて、思わず安堵します。寝坊したらどうしようかと思っていたけれど、杞憂に終わったようです。
 支度を済ませ、約束していた4時半に玄関に行きます。
 すると、すでに準備を済ませたしきさんが玄関で待っていました。

 しきさん「おはよう。」
 わたし「あ、おはようございます。」

 二人で宿を出ると、朝の清涼な空気が頬を撫で、うすぼんやりとした光景が目の前に広がります。見上げると、雲一つない青空が広がっていて、今日の旅がいい物になるということを示唆しています。
 昨日、私たちを苦しめた真夏の太陽は、まだ寝ぼけているみたいでした。あたりは、昨日の猛暑が嘘のように冷えており、うすぼんやりとした光が富士山を幻想的に映し出しています。
 早朝の静謐な空気を全身で感じながら、「やっぱり、朝はいいな……」となんとなく思います。

 まずは、近くのコンビニで朝飯とを調達し、身体にエネルギーを注入します。猛暑の中でもバテずに走り続けられるように、今のうちにエネルギーを蓄えておきます。
 この時に、補給食と水も調達します。
 
 しきさん「日が上りはじめちゃってるね。本当は、日が昇る前に河口湖までいきたかったんだけど……」

 朝四時半に出発にしたのは、日が昇る前までに河口湖にたどり着き、河口湖から日の出を見たかったからなのだけれど、すっかり読みが外れてしまいました。
 この時期だと、日の出が思ったよりも早くて予定を立てるときに気を付けなければなりません。
 
 
 早朝の赤富士。朝日が富士山を幻想的に映し出している。
 本当は、これを河口湖で見るはずだったのだけれど……読みは外れるものです。

 エネルギーを十分に補給したあとは、河口湖に向かって走りはじめます。
 宿自体が、河口湖からほど近いのもあって、すぐに到着します。

 
 朝の静謐な空気の中でみる河口湖は、少し幻想的。

 早朝の河口湖は、うすぼんやりとした光が湖面と霞んだ山々を照らしていて、何とも幻想的です。

 ついたら早速、河口湖を一周することに。
 物音一つしない朝に、自転車のチェーンの音だけをかすかに響かせて走る。


 赤富士と愛車。
 
 
 富士山のみの写真。


 朝日。
 この時間になってようやく見えてきました。


 湖畔と富士山。

 朝のひんやりとした澄んだ空気の中、湖畔を挟んで聳える富士山はいつもよりも荘厳で、思わず感嘆のため息をつく。ペダルをこぐ度にこんな光景が何度も見えるものだから、その度に足を止めては眺めることを繰り返す。

 絶景を目の前にしては止まって眺め、写真を撮ることを繰り返しながらゆったりと進む。
 そんなとき、ふと湖を見ると……


 おおお……!!
 逆さ富士だ……!!
 
 天気が良い上、風も吹いていないため、湖面には綺麗な逆さ富士が映し出されていました。
 思わず、二人して自転車を降り、目の前の絶景にくぎ付けになります。


 別の場所でも。
 こっちのほうが綺麗かな?

 端的に言って、河口湖は最高すぎた。絶景のパラダイスだった。
 昨日の山中湖も最高だったけれど、朝の澄んだ空気感の中で荘厳に聳える富士山を眺めながら走る河口湖は、なんともいえない楽しさがありました。
 出会う景色はどれも絶景で、ついそこに長く留まりそうになる。
 その度に、丁度良いタイミングでしきさんはこういう。

 しきさん「旅は名残惜しい方が丁度いい」

 その言葉に背中を押されてまた走り出す。そんなことの繰り返しでした。
 
 河口湖もあっという間に一周し終わり、名残惜しい気持ちを押し殺しながら次なる目的地の西湖に向かいます。
 

 河口湖を出てからすぐに西湖に到着します。
 この時間になると、すっかり日が高くなり始め、じりじりとした暑さが全身を包みはじめます。
 そんな中、西湖を一周し始めます。
 

 富士山がちらり。
 日が高くなると、水面に映る景色がはっきりして綺麗。
 

 西湖からみた富士山。
 山に遮られて全貌は見えないけれど、これはこれで趣がある。

 西湖で写真を撮っていると、しきさんがまた写真の撮り方を教えてくれます。

 しきさん「カメラを縦にして、景色を上三分の一残して撮るといい感じになるよ」
 私「なるほど。やってみよう」

 ということでやってみた結果がこれ。
 

 うむ、確かに美しい。
 それにしても、西湖の濃紺の湖と緑の組み合わせはとても絵になる……

 西湖は、山中湖や河口湖に比べて小さいので、写真を撮りながらのんびり走っていてもすぐに走り終えてしまいました。

 西湖を出た後は、次なる目的地である精進湖へ!
 湖北ビューラインを通って向かいます。
 

 精進湖に到着!
 精進湖を見て、ふと思う。
 
 あ、あれ……?

 しきさん「精進湖ちっさ……」

 私の思っていたことをすぐに代弁してくれるしきさん。
 そう、小さかったのです。西湖と比べても明らかに小さい。
 精進湖は、富士五湖の中でも一番小さい湖として知られているので当然と言えば当然。それにしても、まさかこんなに小さいとは……

 すぐ一周走り終えそうだなあ、と思いつつ、精進湖を一周し始めます。
 すると、私達の認識が間違っていることにすぐに気づきます。


 北西方向に進んでいくうちに、精進湖の全貌が見えてきました。
 どうやら、精進湖は、縦に長かったようです。先ほどは、精進湖の一部しか見えていなかったので、小さいと誤認してしまったよう。
 
 河口湖一周中にコンビニを見つけたので、そこでご飯を食べながら少し休むことに。
 お昼ご飯用に、カレー麺とゆで卵を購入。あと、水が切れていたので、コンビニにあったまずそうなプライベートブランドっぽいスポドリも購入します。
 それらを持って、コンビニ前にあるベンチに腰掛けます。


 外ご飯効果でおいしさ倍増のカレー麺
 
 ちなみに、今回の旅は、ゆるキャン△の聖地巡礼も兼ねています。カレー麺を食べているのは、その影響だったり。
 本当は、本栖湖で食べたかったのだけれど、本栖湖の近くにカレー麺を食べられそうなところがなかったのでここで食べてます(
 あと、ここで買ったプライベートブランドっぽいスポドリは、追加購入しそうなレベルでおいしかったです。まずそうっておもってすいません。

 精進湖を眺めながらゆったりとご飯を食べていると、カヌーを(ボート?)をやっている人が沢山いることに気づきます。
 河口湖や西湖では、あまり見かけなかったので、ちょっと新鮮な気持ち。

 コンビニで一休みした後は、本栖湖へと向かいます。

 精進湖から少し走ると、すぐに本栖湖に到着します。精進湖と本栖湖って意外と近い。
 

 本栖湖!
 本栖湖についた瞬間、まず思ったのは「広いな」ということでした。
 他の富士五湖に比べて視界を遮るものが少ないので、広大な印象を受けます。
 期待を胸に秘めながら、早速一周していきます。
 

 本栖湖の青。
 
 本栖湖に来て、「広さ」の次に目についたのは、この湖面の青さ。
 いままで巡ってきた富士五湖のどれよりも美しい深い青をしていて、思わず見惚れてしまいます。
 美しい湖面を見ながら、ゆるゆるとペダルを漕いで進んでいきます。
 

 本栖湖と富士。
 本栖湖の広く青い湖面と奥に聳える富士山をより際立たせてていて良い……
 

 本栖湖の青と山の緑。
 湖面の青が綺麗なので、山の緑が一層映える。


 愛車と共に。
 

 本栖湖と富士山。
 
 本栖湖の景色は、一言で言えば「雄大」でした。景色が開けていて、見渡す限り湖と山が一望できました。
 特に今日は風が少なく晴天だったこともあり、富士山を初めとした山々が湖面い映りこんでいていて綺麗でした。湖面は深い青をしていて、ここが湖なのか疑うレベル。
 このような絶景続きの贅沢な道を走れるって幸せだ……

 絶景ロードを突き進んでいた私達でしたが、ここで少し寄り道。
 本栖湖といえば、ゆるキャン△の聖地巡礼をするにあたって欠かせない場所です。
 というのも、ゆるキャン△一話でリンとなでしこが出会うキャンプ場が本栖湖にあるからです。
 ゆるキャン△大好きな私としきさんとしては、ここは外せない!ということで寄ることに。


 ゆるキャン△聖地その1!本栖湖公衆トイレ!!
 

 ゆるキャン△1話でなでしこが昼寝をしていたベンチがある場所ですね。
 おお!ここでなでしこが寝ていたのかー!なんて思いながら、写真をぱしゃり。


 ゆるキャン△聖地その2!リンちゃんが泊まっていたキャンプ場!
 夏なのもあって、人がめちゃくちゃいました。冬になれば、作中みたいに空くのかな。
 それにしても、このキャンプ場は湖畔に近いし富士山見えるしで最高ですね。私も一回ここでキャンプしたいものです。

 一通り聖地巡礼を終えた後は、また絶景ロードをひた走ります。
 少し走ると林道に入りました。木々が夏の日差しを遮ってくれるので、灼熱地獄で火照った体にはありがたい。
 ゆるゆると走っていると……


 木々の間から、こんな美しい光景が見えて思わず足を止める。
 
 なんだこの美しい青は……!!

 湖とは思えない、澄んだ青。
 青と緑と透明のグラデーションが、太陽の光を浴びて宝石のように輝いている。
 先月見た瀬戸内海を彷彿とさせる美しさ。ただ、瀬戸内海よりも若干素直な色をしている。
 先ほどのキャンプ場では、このような青ではなかったので、この付近特有の色なのでしょうか。とても綺麗でいつまでも見ていられそうでした。

 この青を見ながら、林道をゆるゆると進んでいきます。
 林道を抜けると、元の場所に戻ってきました。本栖湖一周完了です。

 本栖湖を一周した後は、お土産屋さんの中にある飯屋で一休み。


 小腹がすいたので、ほうとうを注文しました。
 なお、一人一つ食べられるほど腹に余裕はなかったので、二人で分け合って食べました。
 ほうとうは、味噌の味がきいたどろっとした汁がほうとうにいい感じに絡み合っていてすごくおいしかったです。

 しばらく、雑談をしながら休息。この夏は、死ぬほど暑いので休息をとってないと体調を崩しそう……

 休憩と補給を終えた後は、最後の富士五湖である本栖湖に別れを告げ、次の場所へと向かいます。

 本栖湖から出たあとは、しばらく下りが続きます。涼しい風が火照った体に当たって心地よい……

 本栖湖からしばらく下った先にあるのは……


 朝霧高原だあああああああああああああ!!

 鮮やかな緑が続く高原が目の前に開けてきて、思わずテンションが上がる!
 草の緑と空の青と入道雲のセットがまさに「夏」といった様相を醸し出しています。
 朝霧高原のバックに聳える富士山は、富士五湖と共に撮った時の「雄大さ」や「荘厳さ」とはまた違う良さが見えてきます。
 牧歌的というか和やかというか。一言で言えば「夏休み」って感じの風景。
 高原の反対側は、青々とした山々が望めて、これもこれで絶景でした。全体的に道が開けているので、自転車で走っていてとても心地よかったです。


 愛車と共に。
 自転車が青と黒(と緑)なので、高原の鮮やかな緑に映える。
 それにしても、まさに「夏」って感じの風景です。

 途中、道の駅「朝霧高原」で、少し休憩を挟みます。
 

 休憩がてら、朝霧牛乳と草大福をいただく。うまい。
 瓶の牛乳ってなんでこんなにうまいんだろう……

 しばらく休憩してから、道の駅「朝霧高原」を後にして、御殿場駅を目指して走りはじめます。
 富士五湖も巡り終わったので、朝霧高原を抜けた後は、ただひたすらゴールを目指して走るのみ!

 途中、当初の予定の道が舗装されていない山道になっていたので、ルートを変更したりしつつ、ゆるゆると進んでいきます。
 朝霧高原を過ぎてからは、しばらく上りと下りを繰りかえす道が続きました。アップダウンの激しい道を超えると、果てしない上りがお出迎え。
 目の前には坂道、左右には杉林、見上げれば青空と太陽といった状況の中で、汗だくになりながら黙々と上ります。
 文字通り身を焼くほどの暑さが全身を舐めていきます。日陰が全くないので、休憩するときも直射日光に焼かれて休もうにも休まりません。せめて水を飲むことで体を冷やそうとするのだけれど、ボトル内のスポドリも暑さでぬるくなっている始末。
 そして、なによりも深刻だったのは、補給場所のなさ。だだっ広い道路のど真ん中にコンビニどころか自販機すらあるはずもなく、水分補給の度に軽くなっていくボトルに不安感を覚えます。

 猛暑の中、二人して死んだ顔で黙々と上っていると、私の後方にいたしきさんが突然叫びだしました。

 しきさん「ビアンキ!!」
 私「????」

 おお、しきさん。この猛暑にやられてビアンキ乗りの幻覚でも見てしまったのか……
 「しきさんもつかれているんだなあ」なんて思って走り続けていたのだけれど、続いて「夏(私のこと)!ストップ!」という声がしたので止まります。
 どうしたんだろう?と思って後方を振り返ると、しきさんはある一点を指さしていました。

 しきさん「自販機!」

 しきさんの指に導かれるように視線を移動すると、なんと……


 自販機だああああああああああああああああ!!!

 待ちわびた補給場所がそこにあった。
 藪に隠れる形であったから気付かなかった。良く見つけられたな、しきさん……
 砂漠でオアシスを見つけた旅人のような気持ちになりながら、二人して自販機に駆け寄ります。
 スポドリと水は全部売りきれていたので、麦茶と緑茶を購入しました。やっと冷たい水が飲める……
 水を一口飲むと、ひんやりとした感触が喉から胸、腹へと落ちていき、全身にじんわりと冷気が浸透していく。生き返るっていうのは、こういう感覚の事をいうんだとしみじみと思う。

 冷たい水でメンタルが回復したので、またしばらく上っていきます。
 ただ、猛暑で消耗した体力は戻らないので、休み休み上っていきます。

 途中で、トイレを発見したので、トイレ休憩を挟みます。
 トイレ休憩を終えた後、私はトイレの近くにあるベンチに寝転がって休憩をとります。足をのばして上りで消耗した足を休ませる。

 トイレ休憩を終えた後は、また再び走り出します。
 暑さでやられないように、少し上って休むことを繰り返して着実に上っていきます。

 そんなこんなで休み休み上っていくと、飯屋っぽい休憩場所が見えてきたので入ります。クーラーの効いた店内で涼みながら、メニューにあったもりそばを食べます。

 お会計の時に、少しだけ店のおばちゃんと世間話。店のおばちゃん曰く、富士サファリパークを超えれば、その後はしばらく下りとのこと。
 富士サファリパークまでは、あと3kmといったところ。この果てしない上りもようやく終わると気付いて二人して安堵しました。ようやく希望が見えてきた。

 富士サファリパークまで上った後は、おばちゃんの言った通りしばらく下りが続きました。時速60kmくらいだしながら、一気に下っていきます。
 いままでの上りを返済するかのような長い下りと、途中にある若干の上りを超えると、いつの間にか御殿場に到着していました。
 富士山富士五湖一周を完了です。


 富士山富士五湖一周した記念に、御殿場駅でパシャリ(なお、解散後の写真)。
 いつも一周した時に記念撮影する場所がなくて謎な撮影場所になる。


 御殿場に到着した後は、一周を達成したお祝いに御殿場駅の近くのセブンでアサヒスーパードライを買って乾杯!
 暑さと疲労でぐったりしている体に、冷たいビールがしみわたっていく。
 達成感も相まって、いつもよりもビールがうまい。

 ビールを飲みつつ、今回の旅についてしきさんと語り合う。
 しきさんは、最初の御殿場から山中湖の上りと最後の果てしない上りを越えられるか不安だと言っていました。私の目からみたらそこまで辛そうにしていなかったので、それを聞いて驚きました。
 この二つの上りは、今回の旅でもかなりきつい場所だったなあ、と思い返してしみじみと思います。
 ただ、越えられないほどではなかったと思いました。確かに猛暑の中あの上りを走るのはきつかった。山中湖の上りでは、足が釣りそうになったほどだったし、決して楽な道のりではありませんでした。
 だけれど、5月に経験した地獄の西伊豆スカイラインの果てしない上りに比べればそこまでではなかったとも思います。あの上りを越えてきた私としては、「越えられない」というほどではなかったのです。
 しきさんにこのことを言うと、「根性あるな」と言われました。
 自転車は、経験を重ねるたびに強くなるのだと、この旅を通じて実感しました。
 だからこそ、これからもっといろんな場所にいって強くなっていきたいと思う。

 ビールを飲み終わった後は、電車の時間が迫っていたからお互い慌ただしく自転車を輪行袋に詰めて解散しました。
 
 しきさん「これで終わりじゃなくて、またどっかいこうな」
 私「はい、是非またどっかいきましょう!」
  
 そんなことを言い合って別れました。
 しきさんの背中を見送ってから、私も輪行袋に詰め込んだ自転車を持って電車に乗り込みます。

 電車に揺られながら、今回の旅に思いを馳せる。
 風景も確かによかったのだけれど、それ以上に思い出すのはしきさんとの思い出。
 同じ景色を同じ時間に一緒に見て、共有できることの楽しさ。
 辛さを共有して励まし合って進むこと。
 これらは、一人旅では絶対に得ることができないもので、誰かと一緒にする旅でなければ経験できないこと。
 一人旅とまた違った魅力が、誰かとする旅にはあるのだと思いました。
 どんな高性能なカメラでも、その時の感動とかその場の空気感を残すことはできないけれど、誰かと一緒の旅なら、一緒に旅した仲間が覚えていてくれる。
 それって素敵なことだと思うのです。
 一人旅みたいに、目の前の景色をただ見つめて考える旅も好きだけれど、誰かと一緒に「今」を共有できる旅も素敵だな、と今回の旅を通じて思いました。

 また、誰かと旅をしたいな、と思いながら、次の旅へと思いを馳せる。
 さあ、次はどこへいこうか?


 おしまい。