どうも、拓夏です。今回は、2020年の8月9日~16日に行った道北旅の7日目について書こうと思います。
前回のは、こちらからどうぞ。
【7日目】最北の島へ【稚内~礼文】
眩しさと寒さで目が覚める。時刻を確認すると、4時だった。
こっちにきてから、なにかしらの要因でこの時間に起きるようになってしまった。大体はカラスか太陽が原因。
どうでもいいけど、二輪の教習を受けている夢を見た。今回の旅で、ライダーさんを沢山見かけたからかな?
不思議な夢に首を傾げつつ、テントの入り口を開けた。外はすっかり明るくなっている。
明るくなっているけれど、気温は激寒だった。気温を確認すると、14度とのこと。夏の気温じゃねえ……(白目
道北は寒いけれど、稚内はその中でも格別の寒さだと思う。本当にここは日本なんだろうか。
あまりの寒さにシュラフからしばらく出られなかった。堪忍して外に出るのに10分くらいかかった(
テントを出て、キャンプ場を見渡す。周囲には、すでにコーヒーを飲んだりしてゆったりと過ごしている人が数人いた。キャンプ場の朝は早い。
そういう私も、そろそろ出る準備をしなければならなかった。
礼文行きの船は、6時頃に出港する。出港40分前までには、もろもろの手続きを済ませて搭乗口にいたいので、これくらいの時間には撤収し始めたほうがいい。
寒さに震えながら、シュラフやテントを畳んでバッグに詰め込む。
自転車にバッグを取り付けて、港へ走り出す。
港へはすぐにたどり着いた。稚内森林公園キャンプ場は、港とのアクセスが良い。今後、こちらに来るときは積極的に使いたいキャンプ場だ。
利尻に行った時と同じく、受付で乗船券を買って自転車に取り付ける。そして、車両搭乗口に向かう。
礼文へと向かう数人のライダーさんたちと共に、船が来るのを待った。目の前にぱっくりと口を開けたフェリーが泊る。
旅がはじまる予兆。この光景だけは、何度見ても飽きない自信がある。それくらいワクワクする場面だ。
乗船時間が来たので乗り込む。乗務員に自転車を預けて、客室へ向かう。
客室は、思いのほか閑散としていた。旅に出ていたみんなは、お盆休みを終えて帰ったのだろうか。一人だけ取り残された感じがして、少し寂しいなあ。
適当なところに座って海を眺める。しばらくして、出航の汽笛と共に船が動きだした。
しばらくすると、フェリーは礼文島に到着した。
車両甲板から、自転車を引いて降りる。
空を見上げると、鈍色の雲が空に広がっていた。うーん、微妙!!
気を取り直して、当たりを見渡すと、少し先に利尻島が浮かんでいるのが見えた。
水平線に聳える利尻山は、サロベツ原野でみたものよりも、稚内でみたものよりもはるかに大きかった。利尻島では、当然、島の全容を見ることはできなかったので、この旅に出てから利尻島をまじまじと見られたのはこれが初めてかもしれない。
山頂から見る景色は、別の山だとかなんとかいうけれど、まさにそんな感じだった。
礼文島到着!
礼文島について、さてどこから巡ろうかと考える。
礼文島は、島の東側には道があるのだが、西側は山岳地帯となっており自転車の通れるような道路は引かれていない。つまり、利尻島のようにぐるりと一周できる地形ではないのだった。
港は、ほぼ南側に位置していた。先に北側に進んでしまうと、南側まで帰ってくるのが大変そうなので、礼文島の最南端まで行ってから、北上することにした。
南に向かって走る。礼文島最南端であるカランナイ岬へは、すぐにたどり着いた。
最南端の標識。礼文なのに知床……?
礼文島の最南端には、この標識がポツンとあるだけでその他には何もなかった。
あたりには雑草が生い茂っていて、閑散とした景色が目の前に広がっている。
と、とりあえず、なにもなかったけれど、礼文島の最南端を制覇したぞ!
次は、最北端のスコトン岬を目指しつつ、観光スポットをめぐることにした。
カランナイ岬から少し走ると、北のカナリアパークに到着した。
展望が良すぎる。
ここは、映画「北のカナリアたち」の舞台となった場所のようだ。
この映画をみたことはなかったのだけれど、赤い屋根の校舎や遊具がかわいかったのと、目の前に利尻山がみえるという展望の良さもあって、なかなか楽しめた。
北のカナリアパークを出て、走り出す。
少し走ると、この島唯一のセコマを見つける。朝ごはんをまだ食べていなくておなかが空いていたので、ご飯を買うことにした。
めぼしいものをいくつか買ってから出る。
冷やしクリームパン
個人的に気になった商品。カスタード味とミルク味があったので、カスタード味を選ぶ。
中にはひんやりとしたクリームが詰まっていておいしかった。
腹ごしらえを済ませて、再び、北に向かって走り出す。
しばらく走ると、アップダウンのきつい道がお出迎え。それだけでも厳しいが、冷たい向かい風が前から吹き付けてきて、さらにハードモードになる。
島の洗礼を受けながら、ひたすら走る。
えぐい上りをなんとか上っていくと、ほどなくして下りになった。
ずっと何もない道を走ってきた私の目に、こんな光景が飛び込んできた。
海だ!!!
今までの寒さとかそういうのが全部どうでもよくなるくらいテンションが上がる。
そのまま下り坂を飛ばして走る。
下り終えると、海沿いの道に出た。
風が強いためか、少し荒れている。
目の前の広大な海を眺める。
煮え切らない天気だけれど、それでも海は美しかった。晴れてたらもっときれいだったんだろうなー。
しばらく海を眺めてから走り出す。目的地まであと少しだ!
海沿いの道を走る。
しばらく走ると、目的地に到着した。
スコトン岬!
宗谷岬が日本本土最北端だとすれば、スコトン岬は、正真正銘、日本列島の最北端だ。
これより先に行けば、そこは日本ではなくロシアとなる。
吹き付けてくる風は、稚内の比じゃないくらい冷たかった。ここだけ季節が晩秋になってしまっているんじゃないかと思う。
日本列島最北端から眺める景色は、どことなく爽やかだった。目の前に見える小島とどこまでも続く水平線を眺める。
このはるか先には、樺太とユーラシア大陸が広がっている。だけれど、日本から出たことのない私には、あまりにも現実味のない事実だった。地図上に記されているバカでかい大陸が、この先に本当に広がっているとは信じがたかった。自分の中の世界地図には、礼文島から先は記されていない。この時初めて、自分が日本以外のことを本当に知らないのだと悟った。
ふと、淡路島で大鳴門橋を見た時に、その先に続く四国へと思いを馳せていた時のことを思い出した。あの時も、ワクワクしていたけれども、先に続く四国のことをうまく想像できなかった。その翌年に、自分の足で四国を走り大鳴門橋の反対側に来るまで、その橋の先に四国があることを、本当の意味では信じていなかったような気がする。
その時と同じような感覚が、胸の中にあった。今、礼文島の最北でユーラシア大陸に思いを馳せている私が、いつかロシアの南側から日本を眺めるときが来るのだろうか。
もしそんなことができたら、おもしろいな。自分だけの世界地図を自分の中に作って行けたら面白い。
その前に日本を制覇しないといけないけれど(
物思いにふけっていたら、礼文島に旅行に来ているご夫婦に話しかけられた。
自転車で来ていることを話すと、驚かれた。そのまま「記念に一枚とってあげるよ!」と言われ、写真を撮ってもらった。
自分が映っている写真を撮ることがないので、なんだか新鮮な気持ち。
ご夫婦と別れて、近場をぶらつく。
スコトン岬の付近には、お土産屋さんとか食べ物屋さんがあった。
売店のうたい文句に利尻と礼文のウニの食べ比べなんていうのもあったけれど、高すぎて食べられなかった。旅人は貧乏……
日本最北端のトイレ。
日本最北端になんでもあやかればいいってもんじゃないんじゃ……(
一通り、ぶらついてから次の目的地へ向かう。
次の目的地は、礼文島を象徴する景色のある場所だ。その名も澄海岬。
その爽やかな名前と裏腹に、道中は島らしいえぐい上りが続く。息を切らしながら走る。
開けた道をひたすら走る。
礼文島は、一年を通して低温であるため、標高が低くても森林限界が訪れる。それもあって、目の前には草原のような開けた景色が広がっていた。
普通なら高木が生えていておかしくない場所でも、草原のような景色が広がっているので不思議な気持ちになる。草に覆われた丘は、何とも言えない優美さがあった。
しばらく走ると、海が見えてきた。目的地はもうすぐだ!
海だ!!!
自転車を停めて、階段を登る。ひたすら坂を上ってきたのもあって、階段が地味に辛い。
階段を登り終え、目的地にたどり着いた。
澄海岬
ふおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
崖に縁どられてひっそりと現れたマリンブルーに思わず息をのむ。
強風のなかでも、海面は穏やかに揺れるのみで、まるで外界からの影響を一切受けていないようだった。
砂漠にひっそりと現れるオアシスのような優美さと、島特有のワイルドな外観を同時に併せ持つ、不思議な場所。
目の前の光景を1mmでも写真に残したくて、夢中で写真を撮った。
澄海岬も素晴らしかったけれど、そこから少し先にいったところにある展望台からの眺めも最高だった。こちらも、夢中で写真を撮る。
しばらく眺めてから、澄海岬を後にする。次は晴れた日に来たい。
目的地はすべて回り終わったので、少し早いけれどキャンプ場へと向かうことにした。
階段を下りて自転車に跨ったとき、全身にどっと疲れが押し寄せてきた。連日走り続けたのもあって、体力が底をつきそうだった。
今日は、キャンプ場に戻ったら休もう……
そんなことを思いながら、アップダウンのある道をひたすら走り続ける。
アップダウンに死にそうになりながら、なんとか今日のキャンプ地である「久種湖畔キャンプ場」に到着する。
久種湖畔キャンプ場は、その名の通り久種湖の畔にあるキャンプ場だ。キャンプサイトだけでなく、コテージやバンガローがあったり、シャワールームやランドリーなども併設されている。そのほかにも、少し走ればスーパーもあるので、食べ物などにも困らない。
ちなみに、礼文島でランドリーが使えるのは、このキャンプ場だけだったりする。
管理棟で受付を済ませる。今日は雨の予報だったのでバンガローを借りようと思っていたのだけれど、満員とのこと。仕方ない、なんとかしてテントで雨をしのぐしかない。
管理棟のおじさん曰く、今日はそんな強い雨にはならないだろうといっていた。確かに、予報では夕方から小雨といっていたし、たとえ雨がふったとしても、テントでしのげるかもしれない。
とりあえず、テントを張りにキャンプサイトへ向かう。このキャンプ場は、オートサイトとフリーサイトに分かれているので、フリーサイトのほうにテントを張る。
来たのが早いのもあってか、私のほかには誰もいなかった。のんびりとテントを設営する。
ついでに、あたりを少し散策した。
テントを張った後は、お昼ご飯を買いに近くのスーパーまで行くことにした。
スーパーまで行く途中に、小さい定食屋を発見した。丁度いいし、ここでご飯を食べよう。
店に入って、味噌ラーメンを注文する。しばらくして、頼んでいたものが運ばれてきた。
冷えた身体に温かいラーメンの汁が染みる。こころなしか、疲労が少し軽減されてような気がする。
腹ごしらえをした後、スーパーで買い物をしてからテントに戻った。
テントに戻った後は、コインランドリーで洗濯物をしたり、コインシャワーを浴びたりして過ごす。
やることが一通り終わってから、テントに入ってyoutubeを見ながらのんびり過ごす。
最近溜まっていた推しのVtuberのアーカイブを見たりする。旅に出ても、暇になったときにやることってあんまり変わらないのだなあ。
テントでゴロゴロしていたら、テントの外壁に水滴のようなものが引っ付いているのが見えた。それは、次第に数を増していく。
テントの入り口を開けて空を見上げると、先ほど見た時よりも雲の黒みが増しているような気がした。時刻は15:40。天気予報よりもはるかに早い雨の到来に驚く。
雨は、本降りほどではないけれど小雨よりは強いくらいの程度で降っていた。
とはいえ、タープなどを持っているわけではないので、何もすることはできない。テントの中で、これ以上雨が強くならないように祈りつつ、じっとしていた。
雨がはじける音を聞きながら、ぼーっとする。あたりには、雨特有の静謐な雰囲気が広がっている。
雨のキャンプは、外で遊べないしテントは濡れるしでいいことはないのだけれど、この雰囲気だけは好きだ。
そんなこんなで、雨の中のキャンプを楽しむ。
ただぼーっとしているだけで時間は流れていく。気が付いたら、夜になっていた。
夜の礼文は、雨が降っているのもあって大分寒かった。シュラフに芋虫みたいにくるまって、雨の夜を耐える。
やがて、寒さよりも疲労の方がまさって、気づかないうちに眠りに落ちていた。
8日目へ続く
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